五感を刺激する食育レシピ
五感は、視・聴・嗅・味・触の五つの感覚。この5つの感覚によって外界の状態を認識することができます。五感は、食育に欠かすことのできないものとして扱われています。食によって、五感が刺激されることでの効果や、五感を刺激する食育レシピを紹介していきたいと思います。
五感とは
五感とは、外界のあらゆる刺激によって生ずる感覚のことで、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚のことを表します。
ギリシャの哲学者アリストテレスが「自然を把握する能力」を意味するとして提唱しました。人間は生まれた時からこの五感を持っていますが、どれも未発達の状態です。生物界において、ヒトは視覚が特に発達しており、情報のほとんどを視覚から捉え世界を感知していると言えます。一方、他の生物によっては嗅覚が優れているもの、聴覚が優れているもののあり、種によって様々です。
五感を刺激することでの効果
五感は、刺激することで脳の発達に影響を与えます。脳は生まれてから3、4歳くらいまでに最も急速に発達すると言われている為、この時期に五感を刺激し養うことは脳の形成に欠かせないとても大切なことだと言えるでしょう。
食から得られる五感の刺激
それでは、食にも五感は欠かすことのできないものです。食から得られる五感の刺激は、様々なことで経験することができます。
視覚
ヒトは視覚からの情報が8割と言われています。普段おいしいと感じる食事も、味覚などから感じ取る情報よりも、見た目からおいしさを判断しているのです。食材だけでなく、お皿選びやテーブルセッティングの工夫でも、視覚を刺激します。
聴覚
包丁で食材を切る音、食材を焼くときの音、食べる時のおかずの音などは聴覚を刺激します。また、食事中の会話なども聴覚を刺激します。「おいしいね」や「この野菜は○○で採れたものだよ」といったように、積極的に会話をすることも、食事に興味を持つきっかけとなり大切です。
触覚
野菜や果物など、形がゴツゴツしていたりツルツルしていたり、種類によって異なった触感です。家庭菜園や農作物の収穫体験などをする機会があれば、土に触れ食材を収穫することで触覚が刺激されます。
味覚
味覚は甘味、塩味、酸味、苦味、旨味の5つに分類することができます。
旨味は他の味覚よりも後に発見され、舌で旨味を感知する受容体が発見されたのは、2000年とまだまだ最近のことです。
味覚は味細胞の集まりである味蕾で感じることができ、大部分は舌の舌乳頭という部分に存在します。味蕾が刺激を受けると、大脳の味覚中枢へと伝わり味を識別します。
薄味に慣れることで味覚は発達しやすくなります。
嗅覚
食に関わる嗅覚の刺激には、調理中の匂い、食事中の匂いなどがあります。調理中の匂いには、ご飯の炊ける匂い、カレーの匂い、魚を焼いたときの匂いなどがあり、食事中の匂いにはフルーツや野菜の持つ素材そのものの香りなどがあります。
五感を刺激する食事
離乳食が終わった幼児期におすすめの五感を刺激する食事メニューと、ポイントについて紹介していきます。
餃子の皮で簡単ピザ
餃子の皮でお手軽に作れるピザを紹介します。おやつにもピッタリです。
材料(餃子の皮10枚分)
- 餃子の皮 10枚
- お好みの具材(ハム、ツナ、玉ねぎ、ピーマン、コーンなど) 適量
- ピザソースまたはケチャップ 適宜
- ピザ用チーズ 適宜
作り方
- ピザの具材は火が通りやすいよう薄切りにし、コーンやツナなど水分の多い具材は、水分を切っておく。
- 餃子の皮の表面にピザソースを塗り、具材とピザ用の溶けるチーズを乗せる。
- トースターで3分焼く。
出典:https://www.instagram.com/noriko_kisimoto/
食育ポイント
餃子の皮で作るとパリパリの食感に仕上がります。食べたときのパリっとした音は、聴覚を刺激します。
三色おにぎり
彩りがとてもきれいな三色のおにぎり。お好みでゴマやプロセスチーズ、しらすを混ぜるとさらに栄養価もUPします。
材料(小さいおにぎり3個分)
- ご飯 お茶碗1杯分
- 鮭フレーク 大さじ1/2
- 卵 1個
- 青のり 適宜
作り方
- 卵は溶いて砂糖や塩などお好みの味付けを。
- 油を敷いて弱火で熱したフライパンに①の卵を入れ、菜箸3~4本を使って混ぜながら炒り卵を作る。
- ご飯を三等分にし、それぞれ、鮭フレーク、炒り卵、青のりを混ぜる。
- ラップを使って茶巾絞りにし、小さく握る。子どもが持ちやすいように俵型に握るのも良い。
下記は具材は違いますが、三色おにぎりの参考です。
出典:https://www.instagram.com/4y4.k/
食育ポイント
手づかみ食べをすることで、触覚を刺激します。
さらに三色のおにぎりは彩りも良く、視覚を刺激してくれます。鮭フレークを桜でんぶに変え表面にまぶしたり、青のりを枝豆に変えて混ぜ込むのもおすすめです。
里芋の田楽
一般的には赤味噌や八丁味噌で作ることの多い田楽ですが、白味噌で作ることで子どもにも食べやすくなります。
材料
- 里芋 4個
- 白味噌 大さじ4
- 砂糖 大さじ2
- 水 大さじ2
- 白いりごま 適宜
- 青のり 適宜
作り方
- 里芋はよく洗い、耐熱容器に入れ、ラップをかけて電子レンジで600W、4分加熱します。竹串で刺し、硬いようなら1分ずつ追加して加熱する。
- 粗熱がとれたら皮をむき、ラップで包んで形状を保ったまま少し潰す。
- 次に田楽味噌を作ります。白味噌、砂糖、水を耐熱容器に入れて混ぜ、ラップをかけて600Wで1分加熱する。
- 里芋に3の田楽味噌をかけ、お好みで白いりごまや青のりをかける。
食育ポイント
里芋に田楽味噌を乗せて食べるシンプルで素材の味を感じやすい食べ物です。里芋は皮を付けたまま加熱するので旨味が逃げにくく、素材そのものの味を感じやすいです。また、味噌の香りも漂うので、嗅覚を刺激するおかずと言えるでしょう。
カラフル野菜サラダ
簡単に作れる野菜サラダなら、トッピングを子どもにお手伝いしてもらうこともできます。
材料(4人分)
- サニーレタス 4枚
- ミニトマト 6個
- 卵 2個
- ブロッコリー 1/2房分
- ツナ 1缶
【ドレッシング用】
- マヨネーズ 大さじ4
- プレーンヨーグルト 大さじ2
- はちみつ 小さじ1 ※1歳未満の乳児には与えないでください
- 塩こしょう 少々
作り方
- 卵とブロッコリーは茹でておく。
- 洗ったサニーレタスはキッチンペーパーで水けをしっかりふき取り、食べやすい大きさにちぎってお皿に盛る。
- 1の茹で卵の殻をむき、くし形にカットする
- 3の茹で卵、ブロッコリー、ミニトマト、ツナをトッピングする
- ドレッシングは材料をすべて混ぜるだけで完成
食育ポイント
見た目にもきれいな野菜サラダは、視覚を刺激する簡単料理です。さらにレタスをちぎったり、トッピングをしたりと、子どもにお手伝いしてもらうことで食に興味を持つきっかけにもなり、触覚も刺激します。
また、トッピングのカラフルな色調は視覚が刺激されます。春先にはスナップエンドウをトッピングに使ったり、季節の野菜を使うのもおすすめです。
今回は、五感を刺激する食育レシピを紹介しました。どれも簡単に作れるものばかりで、子どものお手伝いのきっかけにもなります。ぜひ試してみてください。