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日本でも始まる?「代替肉」へのシフト

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YOKARE編集部
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日本でも始まる?「代替肉」へのシフト

欧米で流行している「代替肉」。日本ではまだまだ浸透していない状況にありますが、ハンバーガーチェーンなどが「大豆ミート」の利用に本腰を入れ始めました。代替肉をめぐる日本の現状を見ていきましょう。

出遅れた日本市場

 代替肉をめぐる日本国内の動向を見ると、もともとは自然食品店などの限定された店舗で扱われてきた経緯があります。

ここ数年、海外の「プラントベース食品」のブームを受けて、日本でも「大豆ミート」を中心とした代替肉が注目されるようになりました。しかし、欧米諸国と比べて代替肉の消費量は少ない状況にあります。

 この背景として、代替肉はベジタリアンやヴィーガンの食べ物というイメージが強いことや、日本人の食生活は大豆製品が多く、もともとヘルシーであることが挙げられます。

国内ハンバーガーチェーンが相次いで参入

 日本で代替肉が存在感を示し始めたのは2015年頃から。モスバーガーが大豆由来のパティを使用したハンバーガーを発売したのを皮切りに、その後、ロッテリアやフレッシュネスバーガーが参戦。バーガーキングも大豆由来のパティを使用した商品の販売を開始しています。

 国内の食品メーカーでも動きが出ています。従来から販売していた自然食品会社を除くと、マルコメが2015年に「ダイズラボ」ブランドを確立。大豆由来の食材を食肉の代替品として利用しやすい形に商品化しています。

 ここ数年で、日本ハムや伊藤ハムといった食肉加工品メーカーが相次いで参入。また、大塚食品では大豆ミートのブランド「ゼロミート」を展開しています。不二製油も大豆ミート関連の食品素材の供給に注力しています。

 直近では、2021年11月に開催された「東京栄養サミット2021」に合わせて、日清食品ホールディングスがコミットメントを発表。2030年までに、即席麺の具材として用いる植物性タンパク質の国内使用量を年間1,100トンに引き上げると宣言しました。また、同社では「培養肉」の研究にも積極的です。培養肉は、家畜の細胞を組織培養することで得られます。

 市場調査・コンサルティング会社のシード・プランニングの調査によると、日本の植物由来の代替肉市場は2020年が346億円。25年には463億円、30年には780億円の規模に拡大すると予測しています。

農水省、「大豆ミート食品」をJAS化

 メーカー各社が相次いで代替肉市場に参入したことを受けて、国も動き出しました。

 農林水産省は「大豆ミート食品」と「調製大豆ミート食品」のJAS(日本農林規格)化を目指しています。近く正式に取りまとめる予定です。

 「大豆ミート食品」と表示して販売するための要件に、次のような点を挙げています。
・食肉のような繊維感・粒感を出し、ミンチ・スライス・ブロックなどの形状に加工。
・使用原材料はアミノ酸スコアが「100」の大豆原料。
・大豆タンパク質の含有率が10%以上を占める。
・すべての動物性原材料を不使用。

 「調製大豆ミート食品」の要件は、大豆タンパク質の含有率が1%以上、卵・乳以外の動物性原材料を不使用など。

JASマークのある商品の流通が始まれば、消費者が大豆ミート商品を選択する際の目安となるでしょう。

商品名など表示面の課題も

 日本でも代替肉市場が拡大すると予想されますが、課題もあります。例えば、「大豆で作ったハンバーグ」とうたいながら、動物性の原材料も一部使用している商品が散見されます。

 このため、食物アレルギーのある方は、商品名だけを見て選ぶと危険。購入時には、原材料欄をしっかり確認することが大切です。

また、普及させる上で価格面も課題になるでしょう。現状を見ると、大豆ミート商品は食肉を使用したものよりも価格が高い傾向にあります。今後、価格が低下していけば、健康志向の高まりと合わせて、消費者間に浸透していくと考えられます。

昆虫食も話題に

 代替肉ではありませんが、世界的な「タンパク質危機」を背景に、昆虫食も注目されています。記憶に新しいところでは、無印良品がコオロギのパウダーを使用した「コオロギせんべい」を発売し、話題となりました。

 私たちが日頃、何気なく口にしている食肉を将来も食べ続けられる保証はありません。環境保全、人口増、食料不足という大きな問題が横たわっているからです。そうした問題の解決の糸口として、代替肉が注目されているわけです。
 

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