話題のフードテックとは?
近ごろ、食品分野で「フードテック」が話題に上ることが増えました。大豆を原料に使ったハンバーグやコオロギパウダーを配合したクッキーなど、最新技術を活用した新たな食品が登場しています。注目が高まっているフードテックについて解説します。
フードテックとは?
フードテックは、「Food(食品)」と「Technology(科学技術)」を組み合わせた造語。一般的には、最新のテクノロジーを活用し、新たな食品や調理法などを開発する技術を指します。しかし、その範囲は広く、管理ソフトを活用して農作物の品質を改良する農業生産技術や、食品を注文するためのデリバリー技術なども含まれます。
フードテックの活用事例
- 代替肉
大豆を原料に使ったハンバーグなど、豆など植物由来の原材料を使った食品 - 昆虫由来の加工食品
コオロギパウダーを配合したクッキーなど、国連農業機関(FAO)も、食料危機を救う代替たんぱくとして推奨する昆虫食 - 陸上養殖
陸上の水槽等を活用して効率的・安全に魚を育てます。 - ITの活用
農業にIoTやICTを活用した生産方法や生産管理方法、デリバリー方法が登場しています。
なぜ、フードテックが注目されているの?
世界の人口は2022年に79億5,400万人となり、2050年には97億人に達するとみられています。加えて、穀物を中心とした食事を取っていた人々の食肉消費量が増加する傾向にあります。
これらの事情から畜産が追いつかなくなると予測され、「たんぱく質クライシス」という言葉も登場するようになりました。
また、世界の飢餓人口が2020年時点で8億人以上に達したと推定される一方で、日本を含む先進諸国では、食品の大量廃棄(食品ロス)が社会問題となっています。
こうしたさまざまな食糧問題に対し、たんぱく質の供給源の多様化、農業生産の効率化、栄養バランスの取れた食品の開発といったことが、フードテックの進展により期待されているのです。
フードテックを活用した身近な食品
では、フードテックを活用して開発された食品には、どのようなものがあるのでしょうか。
代表的なものに、大豆ミートなどの代替たんぱく質があります。大豆ミートとは、原料に大豆を使用しながら、見た目や食感、風味までも食肉に似せて作られた食品。日本でも食品スーパーで、大豆ミートを使用したミートボール、ハンバーグ、メンチカツ、唐揚げなどがお目見えしています。
食用コオロギを原料に使ったクッキーやパンなどの開発も進んでいて、話題を集めています。なぜ、コオロギかといえば、育てやすく、たんぱく質源となるからです。食肉に頼っていたタンパク質源を多様化する観点から注目されています。
加えて、昆虫は牛・豚などの飼育と比べて温室効果ガスの排出量が少なく、地球環境を守る上でも有効とみられています。
フードテックを活用した食品には、各種の栄養素をバランス良く配合した健康食品や栄養ドリンクなどもあります。2022年4月に開催されたフードテックのイベントでは、バータイプの栄養バランス食品や、植物性ミルクと呼ばれる大豆・野菜・果物を用いた栄養ドリンクなどが展示されました。
フードテックをめぐる課題
フードテックには、食品の生産・製造で使用するエネルギーの抑制や、温暖化効果ガスの排出量削減など環境保全に役立つものが多いのですが、それを消費者にどう伝えるかという課題もあります。
SDGs(持続可能な開発目標)への貢献にもつながることから、消費者が商品選択しやすいように、ブランド化や情報提供が必要と指摘されています。
また、品質確保の観点から、農林水産省は大豆ミートについて日本農林規格(JAS)を制定しました。今後はほかの食品についても、一定レベルの品質を保証するための仕組みを導入することが求められています。
環境保全や健康管理などの観点から注目
食品業界の技術革新は目覚ましく、引き続きフードテックを活用した新たな食品の開発が相次ぐと予想されます。
環境保全や食糧問題といった地球規模の問題をはじめ、私たちの健康管理という面も含めて、フードテックを取り巻く動向に注目しましょう。