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タンパク質クライシスとSDGsに対応できる「昆虫食」常食の時代が到来!?

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YOKARE編集部
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タンパク質クライシスとSDGsに対応できる「昆虫食」常食の時代が到来!?

世界の人口増を背景に、食料危機が叫ばれています。特に食肉の需要拡大により、「たんぱく質クライシス」が現実のものになりつつあります。そこで、にわかに注目を集めているのが昆虫食。「えっ、虫を食べるの?」と驚くかもしれませんが、既に身近なものになっています。昆虫食の現状について見ていきましょう。

たんぱく質クライシスとは?

世界の人口は2022年11月に80億人を突破することが確実です。わずか10年ほどで10億人も増加したことになります。今後も世界の人口増は続き、国連によると2050年には97億人、2080年には104億人に達すると予測されます。

世界の人口が増加すると、食料を大幅に増産できない限り、世界的な食料危機を招くことになります。特に畜産が追いつかなくなり、豚・牛などの食肉の奪い合いが世界規模で生じると考えられています。これを「たんぱく質クライシス」と呼びます。

ご存じのとおり、私たちはたんぱく質を食肉などから摂取しています。たんぱく源の食肉などが十分に行き渡らなくなると、ほかの食材からたんぱく質を摂取しなければなりません。

そうした事情を背景に近年では、大豆を原料に使用した大豆ミート(代替肉)が世界的なブームとなっています。そして、大豆ミートと並んで注目を集めているのが、昆虫食なのです。

世界で1,000種類以上の昆虫が食用に

昆虫食とは、虫を原料に用いた食品のこと。昆虫は世界中で食用として利用されています。アフリカや中南米、アジアなどでは常食としている国もあります。

ベトナムやタイのタガメ、中国のセミなどが有名です。そういえば、アリを用いたメニューを提供する一流レストランもありますよね。

世界中で食される昆虫は細かく分類すると、1,000種類を超えるとも言われています。

日本では長野県などの一部地域で、イナゴの佃煮や甘露煮、蜂の幼虫などを食してきました。地方のお土産屋さんで見かけた方も多いと思います。

農水省のフードテック戦略の一環に昆虫食も

政府も昆虫食を重視する方針を打ち出しています。農林水産省は2020年7月に公表した「農林水産省フードテック研究会 中間とりまとめ」で、関心事項として、代替肉や培養肉などとともに昆虫食を位置づけました。

今後、昆虫食の普及に向けて、養殖(生産工程)の基準や製品規格が必要と指摘しています。規格については、「昆虫」をJAS規格に加えることも視野に入れています。また、昆虫を養殖する事業者を農業者と位置づけて、産業振興のための支援策を検討する必要があると提言しています。

こうした国の取り組みは、食料安全保障上のリスク低減という目的に沿ったものです。その一環として、たんぱく質の供給源の多様化が不可欠となり、昆虫食も重要と位置づけたわけです。

加えて、昆虫食の生産は地球温暖化ガスの排出量が少なく、栄養価も高いことから、SDGs(持続可能な開発目標)にも貢献できると期待されています。

日本ではコオロギせんべい、昆虫食の自販機が話題に

日本では、コオロギフードが人気商品となっています。コオロギをパウダーにして、クッキーやせんべいなどの原材料に使用するため、虫を食べているという感じがまったくしません。昆虫が苦手な方でも抵抗なく受け入れることができるでしょう。コオロギのプロテイン製品も登場するなど、用途が広がりつつあります。

なかでも、無印良品の『コオロギせんべい』は多くのメディアで取り上げられ、話題となりました。

インターネット通販の市場を見ると、昆虫食を専門に扱う販売サイトもあります。コオロギのアイスクリームやスズメバチなどが人気商品のようです。また、カイコのパウダー、蜂の煮干し、セミの幼虫などもネット通販で購入できます。

昆虫食のサービスを提供する開天堂は、昆虫粉末を用いたアイスの特許を取得。

昆虫食のサービスを提供する開天堂

 

Pasco×SILKFOODの共同開発商品として、クロワッサンとマドレーヌを発売。昆虫の蚕(かいこ)をサステナブルな”食品原材料”として普及させるべく、蚕の素材加工の研究・技術開発を進め、使用した食用蚕パウダーは、おいしく、使いやすいよう独自の製法で国内工場で生産!

敷島製パン株式会社(Pasco)と食用蚕パウダーを使ったクロワッサンとマドレーヌを発売

 

 

直近では昆虫食の自動販売機が登場し、売れ行きが好調なことが話題となっています。

昆虫食が当たり前の時代が到来!?

現在、当たり前のように食べている食肉や魚類も、世界的な人口増が続くなかで、そう遠くない将来、貴重な食材になる可能性があります。

そのときには、タンパク源として代替肉や昆虫食が常食となるかもしれません。今のうちから、昆虫食にも関心を持っておくことが必要と言えそうですね。

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