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有機農業でSDGsを実現?!SDGsに貢献する有機農業の4つの理由

SDGs
現役ファーマーTAKA YASU
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有機農業でSDGsを実現?!SDGsに貢献する有機農業の4つの理由

最近よく耳にする「SDGs」。SDGs(持続可能な開発目標)とは、環境や社会、経済の課題に取り組むための世界的な目標です。
つまり、地球や私たちの未来のために解決したい課題をまとめた目標のことです。
この目標を実現するために、農業分野における取り組みの一つに「有機農業」があります。

「有機農業の推進に関する法律」による有機農業の定義は、

  • 化学的に合成された肥料及び農薬を使用しない
  • 遺伝子組換え技術を利用しない
  • 農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減する

参考資料:農林水産省【有機農業関連情報】トップ~有機農業とは~

有機農業とは、化学肥料や農薬を使わない栽培方法で、環境保全や生物多様性の保護、さらに気候変動対策など多岐にわたる効果をもたらします。

この記事では、有機農業がどうやってSDGsを支えているのかについて解説します。

有機農業とSDGsの関係性とは?  

SDGs(持続可能な開発目標)は、2030年までに達成すべき17の目標(THE 17 GOALS)で構成されています。

17の目標の一つである「GOAL13 気候変動に具体的な対策を」や「GOAL15 陸の豊かさも守ろう」があり、気候変動や陸上生態系の保護の観点といったことがターゲットにされています。具体的なターゲットには農業と深い関連を持つ項目が多く含まれています。

これらの目標を達成するために、有機農業は化学肥料や農薬の使用を排除した農業手法で、自然環境や人々の健康に優しい持続可能な生産方法として注目されています。

有機農業がSDGsに貢献する理由

有機農業が生み出すプラスの連鎖、生態系が豊になり、二酸化炭素を抑制

有機農業は、化学肥料や農薬の使用を削減または排除します。土壌や水質の汚染リスクを低減し、自然環境の保護と長期的に農地を維持できることです。昆虫や微生物、植物など多様な生物が共存できる環境が整い、生態系が豊かになり、自然界全体のバランスを維持できます。

また、土壌の炭素貯蔵量が増え、二酸化炭素の排出を抑えることにもつながります。地球温暖化を緩和し、気候変動の影響を軽減する役割を果たします。

有機農業では、落ち葉や動物のフンを堆肥化して土壌に還元するなど、自然の循環を活用した堆肥や天然由来の肥料が用いられます。地元で出る資源を再利用したり、地域で得られる資源を循環的に利用したりすることで、地域の自給率向上や循環型社会の構築につながります。

有機農業は、環境保全、気候変動対策、生物多様性の保護、持続可能な資源利用(循環型農業)につながるため、SDGsに貢献すると言えます。

1.有機農業は環境保全につながる

「有機農業=農薬を全く使わない」ではありません。
有機農業とは、化学肥料や農薬などの人工的な肥料や薬品を使用せずに、有機物を利用した肥料や薬品を使用します。

ちなみに有機農業で使用できる農薬リストがあります。

化学肥料や農薬を使用しないことで水質汚染の防止にも効果があります。河川や地下水への化学物質の流出を防ぐことで、水域生態系の保護に繋がります。

土壌に関しては、化学肥料の代わりに堆肥や緑肥などの有機物を活用することで、土壌中の微生物活動が活発になり、土壌の質が向上します。

有機農業で育てられた土地は、土壌の有機物量を増やし、保水力が増して長期的な農地の肥沃性を向上させます。

2.有機農業は気候変動対策につながる

有機農業の栽培方法は、土壌中に二酸化炭素を固定化する効果があり、温室効果ガスの排出を削減する重要な役割を果たします。
例えば、有機農法を採用した農地では、従来の農法と比較して、炭素貯蔵量が増加したとの研究結果もあります[※1]。

また、化学肥料の製造や大量使用では、多くのエネルギーを必要とし温室効果ガスを排出します。一方、有機農業ではそのようなプロセスを減らすことで大気中のCO2を減らす役割も果たします。

3.有機農業は生物多様性につながる

有機農業を行っている地域では、クモやカエル、水鳥などの生物が多く生息していることが確認されています。また、ミツバチの個体数が増加し、それに伴って周辺の作物の受粉効率が向上するというメリットも報告されています。
これは、化学農薬を使用しないことで、生態系のバランスが保たれる証です。

4.有機農業による資源の利活用は循環型農業に

地域資源を活用した持続可能な農業も有機農業の特徴です。堆肥や農業廃棄物を再利用することで、廃棄物の削減と資源の有効活用が実現します。これにより、地域全体が循環型社会として成長し、持続可能な未来を支える基盤となります。

循環型農業とは、有機資源を循環させながら農産物を生産することで、人にも自然にも良い生産プロセスのことです。

循環型農業の具体的な実践例
  1. アイガモ農法
    水田にアイガモを放飼し、雑草や害虫の駆除、水田の耕起、糞による施肥を一度に行う方法です。化学農薬や化学肥料の使用を大幅に削減できます。
    アイガモ農法
  2. バイオガスプラント
    家畜糞尿や食品廃棄物をメタン発酵させ、バイオガスを生成します。このガスは発電や熱源として利用され、発酵後の残渣は良質な有機肥料となります。
  3. 輪作システム
    異なる作物を計画的に栽培することで、土壌の養分バランスを維持し、化学農薬を使わずに病害虫の発生を抑制します。
  4. 緑肥作物の導入
    レンゲやクローバーなどの緑肥作物を栽培し、土壌に鋤き込むことで、土壌の肥沃度を高め、化学肥料の使用を減らします。
    緑肥作物の導入
  5. 生物農薬の利用
    天敵昆虫や微生物を利用して害虫を防除する方法で、化学農薬の使用量を削減できます。
    生物農薬の利用

土や水をきれいに保つ環境保全、生き物たちが安心して暮らせる生物多様性の保護、そして私たちの健康的な食生活を支える安全な食品づくり――これらすべてがSDGsの目標につながっています。
たとえば、スーパーで「有機野菜」のラベルを見つけたら、それを選ぶだけでも、地球や地域を応援することになりますよ。

参考資料

※1 農林水産省-農地による炭素貯留について

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