地球環境にも健康にも良い?!温室効果ガスを抑える食生活
温室効果ガスの排出につながり、気候変動の一因となります。温室効果ガスは二酸化炭素だけではなく、メタンなども含まれます。
IPCC(国連の気候変動に関する政府間パネル)は、専門家で構成される政府間機構です。IPCCの報告によると、石炭、天然ガス、その他の化石燃料による発電に次いで、農業、林業、漁業による温室効果ガス排出量が多いと言われています。[※1]
さらに食品廃棄による温室効果ガス排出量は、排出量全体の6.7パーセントを占めていると報告されています。
世界の食料システムから排出される温室効果ガスは、人間が排出する温室効果ガスの約3分の1を占めると言われています。[※2]
一般消費者として、日常の食生活からできることは何か考えてみましょう。
日常の食生活から取り組める温室効果ガスの抑制
食ロスを減らす
国連食糧農業機関(FAO)によると、世界で生産される食料のおよそ 3 分の1が、何らかの理由で無駄になっています。約13%が収穫してから流通のどこかで、約17%が家庭、外食サービス、小売で廃棄されています。[※3]
食ロスの問題は、水、土地、エネルギー、労働力など、この食料を生産するために使用されたすべての資源が無駄になります。
SDGsの17のゴール・169のターゲットの一つに、2030年までに、小売および消費者レベルでの世界の一人当たり食品廃棄物を半減することが掲げられています。
食品を捨ててしまっている人がいる一方で、食料不足の人数は、世界では最大7億8300万人の人びとが飢餓に苦しんでいると国連は報告しています。
さらに食ロスにより、埋め立て地で腐ってしまう食品廃棄物は、CO2よりも強力な温室効果ガスであるメタンを大量に生成します。
食ロスは社会的な問題でもあり、環境問題でもあります。
日本では令和3年度に、約523万トンの食品ロス(家庭から約244万トン、事業者から約279万トン)が発生したと推計されています。[※4]
家庭での食ロスへの取り組みは、食費の節約にも役に立ちます。
お肉や乳製品を過剰に食べない
肉を摂取した場合、人間は活動するためのエネルギー100カロリーを生産するために最大 1500 g のCO2排出量が必要です。肉を控えてベジタリアンなれば、100 カロリーを生産するためにトウモロコシは 11 gのCO2排出量、ジャガイモは 23 gのCO2排出量になり、 人間から排出されるCO2を抑えることができます。
また、飼育に膨大な資源が消費されることが公表され、肉ベースの食事からベジタリアンまたはビーガンの食事に切り替えることが排出量削減に役立つ可能性があると示唆されています。一方で、特に畜産ではメタン排出量が問題になっていますが、飼料などの温室効果ガスの削減技術も進んでいます。
リモートワークとなり、活動エネルギーが減っている現在、過剰に食べする必要はないのかもしれません。肉料理を1日3食ではなく、1日1食にしたり、週に1回はお肉を食べない日を設けたりするのも良いのかもしれません。
自然の植物からタンパク質を摂る
たんぱく質をはじめ、必要な栄養素がすべて摂取できることで注目されているのが、ナッツや豆類などの植物由来のタンパク質です。
さらに肉や乳製品と比較して、植物ベースの食品は二酸化炭素排出量がはるかに少ないです。1kgの牛肉を生産すると、60kgの温室効果ガス (CO2換算) が排出されます。一方、エンドウ豆は1kgあたりわずか1kgしか排出しません。
農作物を栽培する
自分で農作物を栽培すると、ストレスが軽減し、食事の質が向上すると言われています。
土地を耕作すると二酸化炭素排出量も削減できます。
包装やプラスチックを無駄に使わない
使い捨てプラスチックは温室効果ガス排出の問題となっています。
食べ過ぎない
体が必要とする以上のカロリーを摂取すると、健康を害する可能性が高まります。さらに多くのカロリーを摂取している人は温室効果ガス排出量が多い傾向があります。
地産地消をする
長距離輸送される食品への依存度が下がり、新鮮な食品の摂取量が増える可能性があります。季節外れに生産される食品は通常輸入されるか、加熱された温室が必要なため、多くのエネルギーが必要となると言われています。
参考資料
※1Food and Climate Change: Healthy diets for a healthier planet
※2 Food systems are responsible for a third of global anthropogenic GHG emissions
※3 Reducing food loss and waste: Taking Action to Transform Food Systems