白髪になるメカニズム
一本あるだけでも、年齢を感じてしまう白髪。加齢などで白髪になると言われていますが、どのようなメカニズムで白髪はできるのでしょうか。白髪になるメカニズムについて、髪の毛の構造などと合せて解説しますので、白髪が気になる人は、ぜひ参考にしてください。
白髪が生えてくる仕組み
髪の毛の構造
白髪になるメカニズムを説明する前に、まずは髪の毛の構造について解説します。
頭皮にある「毛球」で髪の毛は作られます。毛球には、多くの毛細血管があり、髪の毛の生成に必要な栄養などを届けています。
毛球の中では「毛母細胞」と「メラノサイト」が存在しています。「毛母細胞」の役割は髪の毛を作り出すことで、「メラノサイト」の役割は、髪の毛の色素を作り出すことです。メラノサイトで作られる色素は「メラニン色素」と呼ばれており、毛母細胞が髪の毛を作り出す過程でメラニン色素を取り込んで、髪の毛に色をつけていきます。
髪の毛は3層構造
1本の髪の毛は、一番外側の「キューティクル」、中間部の「コルテックス」、中心部の「メデュラ」の3つから成り立っています。
キューティクル
キューティクルは、メラニン色素が含まれていない半透明のうろこ状の組織で、4~10層に重なりながら髪の毛の表面を覆って内部組織を守っています。キューティクルとキューティクルの表面は、脂質成分MEA(18-メチルエイコサン酸)で覆われています。
健康的な髪の毛の表面はMEAが多く存在するのですが、MEAが減少するとキューティクルが剥がれやすくなります。
またキューティクルは大変デリケートで、わずかな摩擦でも傷ついたり、開いたりするので、毛先に行くほど摩擦の影響で枝毛になりやすいのです。見た目が美しいツヤツヤの髪の毛になるには、キューティクルを整えることが大切なのです。
コルテックス
コルテックスは、髪の毛の85%~90%を占めており、繊維状の組織が束になり絡み合った構造をしています。コルテックスのタンパク質や水分量によって、髪の毛の太さや柔らかさなどが変わってきます。また、メラニン色素は、このコルテックスに含まれていて、メラニン色素の種類と量によって髪の色が決まります。
メデュラ
髪の中心にあるのがメデュラで、メラニン色素は含まれていません。メデュラは、柔らかいタンパク質で網目状の構造をしています。実は、メデュラの働きはよくわかっていないのですが、保温や衝撃を吸収する役割があるのではないかと言われています。
白髪になるメカニズム
髪の毛の色は、コルテックスにあるメラニン色素の種類と量によって変わります。
メラニン色素には、黒褐色系のユーメラニンと黄赤色系のフェオメラニンの2種類があります。ユーメラニンの割合が高く量が多いと黒髪。フェオメラニンが多いと赤色や金髪になり、メラニンをほとんど含んでいないのが白髪です。
「朝起きたら、すっかり白髪になっていた」という話を聞くことがあります。しかし、すでに生えている毛から色素が抜け落ちるということは、白髪になるメカニズムから考えてありえないことなのです。
黒髪が作られる過程
白髪になるメカニズムを説明するまでに、髪の毛に色が付くメカニズムについてまとめると以下のようになります。
メラノサイトがメラニン色素を作る
↓
髪の毛を作る毛母細胞にメラニン色素を受け渡す
↓
メラニン色素が髪の毛に取り込まれ髪の毛に色が付く
黒髪が作られずに白髪になり過程
白髪になるには、主に2つの要因が考えられています。
- メラノサイトでメラニン色素を作られなくなった
- 毛母細胞にメラニン色素が受け渡されなくなった
前述の黒髪になるメカニズムの一部が阻害されると白髪になってしまいます。メラノサイトの機能が低下したり、全く機能しなくなったりすることで白髪になるのです。メラノサイトの働きが低下する理由としては、加齢やストレス、病気などがあります。その他には、頭皮の血行が悪くなると毛根に栄養が行きわたらずに、メラノサイトの機能が低下することも考えられます。
年を重ねると、メラノサイトの機能が低下するため、生成されるメラニン色素の量が減るため、だんだんと白髪が増えてしまいます。
白髪が増える原因
ストレスで白髪が増えるメカニズム
「最近ストレスが多いから白髪になった」などと冗談っぽく言う人がいますが、実際にストレスも白髪になる原因です。
ストレスを感じると、興奮ホルモン「ノルアドレナリン」が大量に分泌されます。ノルアドレナリンが毛根の色素幹細胞を刺激すると、メラノサイトが増殖、活性化し大量の色素が作られ放出されます。しかしメラノサイトが過剰に作られてしまうと、幹細胞が早くに寿命を迎えて機能しなくなり、新しいメラノサイトを作ることが出来なくなってしまうのです。そうするとメラノサイトがなくなるため、次から生えてくる毛は白髪になってしまいます。
白髪を防ぐためには、ストレスを溜めないことも大切です。
白髪や薄毛の原因になるコリネバクテリウム
白髪になる原因として、最近注目されているのが「コリネバクテリウム」です。コリネバクテリウムは、もともと皮膚などに住んでいる常在菌で、肌のpH値を正常に保つ役割があるのですが、色々な要因により増殖すると皮膚に炎症を引き起こし、さらには白髪や薄毛の原因になるという報告がされています。さらに、実験結果では、コルネバクテリウムに対してシソ科の植物に含まれる「ロスマリン酸」の有用性が確認されています。
頭皮でのコリネバクテリウムの増殖を抑え、頭皮の常在菌のバランスを整える効果のあるエゴマなどのシソ科の植物が配合されたシャンプーがおすすめです。
頭⽪に存在する⽼化菌 TM に⾼い効果を発揮する成分を発⾒|ミルボン
白髪になる原因は、主に加齢やストレス、病気などにより、髪の毛の色素を作るメラノサイトの機能が低下してしまうことです。白髪を防ぐには、紫外線やストレスなどで毛根のメラノサイトに刺激を与えないことや、栄養を与えてメラノサイトを機能させることが大切です。
「白髪を抜くと増える」などと言われていますが、実際には抜いても白髪は増えません。ただし、抜く行為が刺激になり毛根を傷つける可能性があるので注意しましょう。
白髪を増やさないためには、白髪のメカニズムを知ったうえで、しっかりと髪の毛をいたわってあげましょう。