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外出自粛で心配されるビタミンD不足の影響と対策

カラダ
倉持江弥
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外出自粛で心配されるビタミンD不足の影響と対策

新型コロナウイルスの流行によって外に出る機会が制限される中で、体に起こるさまざまな問題が取り上げられています。その中でもビタミンD不足による体への影響が話題となりました。新型コロナウイルスの流行下におけるビタミンD不足に警鐘! ~プロサッカー選手の血液データ解析から得られたこと~|順天堂大学医学部附属 順天堂医院などの分析からもビタミンD不足に対して指摘がされています。

普段あまり注目されることが少ないビタミンDが不足するとどうなるのか。どんな対策をすればいいのかを解説します。

ビタミンDにはどんな効果がある?

そもそも、ビタミンDにはどのような効能があるのでしょうか?どんな食品に多く含まれていて、不足するとどうなるでしょうか?

ビタミンDの効能

ビタミンDは体の機能を維持するのに欠かせない栄養素の一つ。一番大きな理由はカルシウムの吸収を助けて、強い骨を作る働きがあります。強い骨を作るためにはカルシウムばかりに目がいきがちですが、実はビタミンDの役割がとても大きいです。 食べたものからビタミンDを吸収しようとしても、実際に腸で吸収されるのは30%ほどで残りは便で排泄されると言われています。腸でカルシウムを吸収するときに助けてくれるのがビタミンDであり、骨粗鬆症の予防に不可欠です。 また、骨だけではなく筋肉の成長にも効果があるということもわかっています。京都府立大学の亀井先生によると、ビタミンDを摂取することで筋の萎縮を抑制して筋肉の機能改善に有用であると報告されました(※1)。 このようにビタミンDは骨の成長や筋肉の機能改善など、体の機能を維持するのに欠かせない栄養素ということができます。

※1ビタミン D によるサルコペニアの予防・改善の分子基盤の解析

ビタミンDが不足するとどうなる?

ビタミンDの摂取が少ないと、いくら頑張ってカルシウムを摂っても吸収量が限られてしまい、骨や歯がうまく成長できなくなってしまいます。 例えば、赤ちゃんや子どもでは強度が不十分で、骨が曲がりやすくなる「くる病」を発症する可能性があります。姿勢の維持が難しくなったり、転びやすくなる、身長が伸びにくいといった特徴が挙げられます。また、身長の伸びが止まった成人ですと骨がもろくなる「骨軟化症」を引き起こしやすいと言われています。

ビタミンDを摂取するには

ビタミンDを多く含む食品は鮭、サバ、秋刀魚や太刀魚などの脂がのった魚類椎茸やシメジといったキノコ類レバーなどに多く含まれています。

食品以外からでもビタミンDを生成することができます。それが「日光浴」です。食品から体内に摂取するだけでなく、皮膚からビタミンDを作り出すことができるのが他の栄養素との違いかもしれません。 直接肌に紫外線を浴びるのが効果的と言われており、窓ガラス越しに太陽の光を浴びても効果はないと言われています。どうしても紫外線というと女性からは敬遠されがちですが、過度な日焼け止めの利用や極端に紫外線を避けることでビタミンDが不足しがちです。 そういった方は食事から積極的に摂取することを心がけましょう。例えば、しらす干しやにぼし、干し椎茸など天日干しにされたものは、太陽の光を浴びている分だけビタミンDが豊富なのでオススメです。

血液データから見るビタミンD不足とその対策

緊急事態宣言が発令されてから外出が制限され、運動部に所属している選手たちの練習量もかなり制限されてきました。その選手達の血液データから見えること、その対策は何が有効でしょうか。

血液データから見るビタミンD不足

冒頭にも紹介した順天堂大学の血液データからわかることは以下の4点。 • 新型コロナウイルス流行下における行動様式の変化はアスリートの血中ビタミンD濃度を低下させていた • スポーツ活動再開時の疲労骨折や肉離れの発生が増加する恐れ • 外出の自粛によりビタミンDが低下し骨折や転倒による怪我が増加する恐れ • ビタミンDの摂取と可能な範囲での日中屋外での活動が推奨される (※2) 例年、冬に比べてシーズンに入る春以降は血中ビタミンD濃度が増加するはずなのに、2020年に限っては減少してしまったというのです。 ビタミンDが不足すると骨や筋肉に影響が出るということは、アスリートにとっても同じことで、骨折や肉離れなどケガ発生するリスクが高まります。そのためトレーニングや練習の強度のコントロールは例年以上に気をつける必要があると言われていました。

※2 引用元…新型コロナウイルス流行後のアスリート運動再開時におけるビタミンD不足に対する警鐘

どんな対策をすればいい?

「ケガのリスクを減らすためにできることとは?」というタイトルで、順天堂大学の斎田教授からこのような発表がありました。(※3) フィンランドやスウェーデンといった北欧地域では、もともと日照時間が短いのでビタミンD不足を防ぐために、食事やサプリメントを意識して摂取するようにしています。 まずできることは食事の意識ですね。魚やキノコ類を意識して食べるようにすること。天日干しされた食品は特にビタミンDが豊富と言われていますので、しらす干しなどいかがでしょうか。 また、意識して日光に当たることも大切になってきます。紫外線が気になるかもしれませんが、紫外線がないとビタミンDは合成されないため、できるだけ日光を浴びるようにして外に出るようにしましょう。時間は10分でも20分でも構いません。特に日照時間が短い冬の時期に意識しておくことで、春以降のケガを防ぐことができるようになります。

※3 コロナ禍の外出自粛で心配されるビタミンD不足ケガのリスクを減らすためにできることとは?

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