アロエベラとキダチアロエの違いって何?
アロエには、大きく分けて2種類あります。食用として用いられているのがアロエベラ、観賞用として用いられているのがキダチアロエです。
アロエは美容効果が高いことから、健康食品としてもよく使われ、美容や健康に関心の高い方の間ではよく知られている植物です。
近年では観葉植物としても、アロエに関心を持つ人が増えています。
アロエとは何か、アロエベラとキダチアロエの違いは何かを紹介していきます。
アロエとは
アロエはユリ科アロエ属の植物の総称で、多肉植物です。
その種類は原種で400種類にも及び、細分化すると500種類にも及ぶと言われています。アロエの多くは、主にアフリカ大陸を中心に分布しています。
一口にアロエと言っても、その種類は多種多様。茎があるものもあればないものもあり、低木から高木などさまざまです。
まずは、アロエとはどういった植物なのかについて紹介していきたいと思います。
アロエとはどういった植物なのか
古くは生薬として利用されていた
アロエの歴史は非常に古く、古代オリエントや古代ギリシア、古代ローマなどでは生薬として栽培されていました。
おもに皮膚病に効果があると考えられ、日本でも江戸時代頃には生薬として広まっていたことがわかっています。
怪我をしたときに、アロエの葉を切って傷口に塗った経験があるという方もいるかもしれません。
アロエは日本人にとっても身近な植物で、昔は一家に一株アロエがあったとも言われています。
日本では輸出入が規制されている?
アロエはアロエベラという品種を除き、ワシントン条約によって保護されています。
そのため、国内ではアロエの一部は輸出入を制限されているものもあるのです。
これは、アロエが含まれている製品にも同じことが言えます。
サプリメントやドリンク類、化粧品やシャンプーなどが規制の対象となっており、承認されたもののみ輸出入されています。
アロエ加工品を含む食品等の輸出における『加工品』とは、例えば「アロエエキス」等が入ったサプリメント、ドリンク、シャンプー、化粧品等が規制対象になり、これらの輸出には承認が必要になります。
ワシントン条約の規制対象植物(サボテン科全種、アロエ属全種、シクラメン属全種、ソテツ科全種(人工繁殖のもの)、ラン科全種(人工繁殖のもの))の『加工品』に係る輸出承認を申請していただく窓口が、平成27年4月1日から経済産業省より経済産業局へ変更となっています。
輸出に際しては、最寄りの経済産業局へ輸出承認申請に必要な書類を提出し、事前に輸出承認の取得をお願いします。
キダチアロエは全葉の使用が認められている
アロエは薬事法によっても使用に制限があり、アロエベラで使用できるのは葉肉部分のみ。全葉を使用することができないのです。
一方、キダチアロエは、薬事法で全葉を使って製品化することが認められています。
表皮と葉肉の間には苦み成分があり、ここに含まれるアロインが有効成分として広く生薬などに使われています。
アロエベラとキダチアロエの違い
アロエは細分化すると500種類もあるということを紹介しましたが、私たちが普段目にすることがあるのは、主にアロエベラとキダチアロエの2種類です。
大きな違いは食用か観賞用かですが、それぞれの違いについて詳しく見ていきましょう。
アロエベラとは
アロエベラは、食用に用いられているアロエで、葉が根元から大きく育ち肉厚であるのが特徴です。アロエベラは厚さが3cm程と肉厚で、幅も一番広いところで10cmにもなります。果肉量が非常に多いのが特徴です。春3~5月頃に黄緑色(ライムイエロー)の花を咲かせます
【原産地】
アロエベラの原産地は、おもにアラビア半島から北アフリカ。温暖な地域によく見られます。
アロエベラは、日本でも比較的温暖な西日本で栽培されており、アロエベラの花は黄色で、5月頃に咲くのが特徴です。
【アロエベラの用途】
アロエの中でも、食用として用いられているのがアロエベラ。
市販の食品ではアロエヨーグルトとして販売されていることが多く、一度は食べたことがあるという方も多いかもしれません。
アロエベラは、アロエのなかでも苦みが少なく非常に食べやすいのが特徴。アロエベラを自分で調理して食べる場合は、できるだけ厚みがあるものを選ぶのがおすすめです。アロエで食べるのは主に葉肉部分であるため、厚みがあるほど可食部分が多くなります。
アロエベラはトゲや外皮部分を取り除き、葉肉をお刺身やアロエジュースなどで食べると美味しく食べることができますよ。
癖がないので気軽にチャレンジしやすいのも嬉しいですね。
アロエベラは食用以外にも、化粧品などでも使われていますが、薬事法によってアロインを除去しなければ化粧品や食品として製品化できません。
アロインは表皮と葉肉の間にある成分で、この部分を除去して加工品などに使われています。
キダチアロエとは
キダチアロエは、おもに観葉植物に用いられている植物です。
私たちが普段見る機会が多いのも、このキダチアロエなのではないでしょうか?
キダチアロエは、漢字で書くと「木立蘆薈」と書き、枝分かれして成長し、その名の通り木のように成長するのが特徴です。別名、キダチロカイとも呼ばれています。
キダチアロエの厚さは1~2cm程で、幅は一番広いところで5cmほどです。アロエベラと比べて葉は小さく果肉量は少ないのですが、根が非常に太くて地中に深く伸びているのが特徴です。
冬から春にかけて、写真のように赤い花を咲かせます。
【原産地】
キダチアロエは、南アフリカ原産の多肉植物です。
12月~1月頃に赤い花を咲かせるのが特徴です。
【キダチアロエの用途】
キダチアロエは、アロエベラと比べて苦みが強いため、食用としてはむいていません。そのため、古くから主に観賞用として用いられているのです。
日本では観葉植物としても知られ、育てやすいことからも人気の高い植物です。
また、生薬として使われていたのもキダチアロエで、別名「医者いらず」とも呼ばれています。
キダチアロエに含まれるアロインには、抗炎症作用や保湿効果があり、火傷や切り傷などに塗る塗り薬、便秘薬などの飲み薬として使われています。
アロエベラとキダチアロエの違いについて紹介しました。
アロエの原産地はアフリカ大陸が中心ですが、アロエベラは北アフリカ、キダチアロエは南アフリカが原産地となっています。
アロエベラもキダチアロエも、それぞれ見た目も違いますが、その用途もさまざまです。アロエベラは食用として用いられ、キダチアロエは観賞用や生薬として用いられてきました。