「朝食抜き」…体力・学力、メンタルヘルス、ダイエットの敵?!
「忙しくて時間がない」「朝からお腹が空いていない」といった理由から、朝食を抜いていませんか?朝食を抜くと、生活のリズムが乱れ、頭がぼーっとして集中力が低下。子どもにとっては学力や体力にも悪影響を及ぼします。朝食の大切さについてお話します。
朝食の欠食率は20代で高い傾向
厚生労働省の調査によると、朝食の欠食率は増加傾向にあります。男性が約15%、女性が約10%を占めています。
特に男女ともに20代で最も高く、男性で3割以上、女性で2割以上の人が朝食を抜いているのが現状です。
朝食抜きは生活リズムや睡眠に悪影響
昔から「朝食を抜くと体に悪い」と言われてきました。かつては人々の経験を通しての指摘でしたが、近年ではさまざまな研究によって確認されています。
朝食をしっかりと摂ることで、生活のリズムが整います。農林水産省によると、幼児から高校生までを対象とした研究では、朝食を毎日食べる人は食べない人と比べて、早寝・早起きする傾向があると報告されています。
また、幼児・中学生・成人を対象とした研究では、朝食を毎日食べる人の場合、睡眠の質が良い人が多く、不眠傾向の人が少ないことも判明しました。
朝食には、私たちの体にとって1日の始まりを知らせるスイッチのような役割があります。朝食を抜くと「体内時計」が狂って、睡眠をはじめとした生活のリズムもおかしくなるわけですね。
朝食は脳を働かせて学力にも好影響
毎日、朝食をしっかりと食べることで、体力や学力にも良好な影響を与えます。小学生から成人までを対象とした研究によると、朝食を毎日食べる人はそうでない人と比べて、体力測定の結果が良好でした。
さらに、中学生を対象とした研究では、朝食を食べる人の方が、学力テストの点数が高い傾向が見られました。
これは朝食を摂ることによって、脳の活動に関与する「ブドウ糖」が補給されるからです。脳の働きが活発化し、集中力が生まれるわけですね。
朝食抜きはストレスの原因にも
朝食はメンタルヘルスにも関係しています。朝食を抜くと、「イライラする」といった症状が出ることがあります。
前述したように、朝食を抜くと生活のリズムが狂い、私たちの体は知らず知らずのうちにストレスを抱え、集中力を欠き、心のバランスもおかしくなります。
「イライラしがち」という場合には、朝食をしっかりと摂れているかどうかを確認しましょう。
朝食抜きはダイエットに逆効果
「ダイエットをしたいから朝食は食べない」という方もいます。朝食を抜くと、本当にダイエットに効果的なのでしょうか?
朝食を抜くと、糖分をはじめ、ほかの栄養素も補給できないため、午前中は体温を上げることが困難となります。
体温が低いままだと、基礎代謝量(何もしなくても身体の機能を維持するために消費するカロリー量)も減り、脂肪を燃焼しにくい状態になります。これに加えて、朝食を抜くと、排便の機能が悪くなり、便秘の原因になることもあります。
朝食を抜くのはダイエットに役立つどころか、むしろ逆効果なのです。
朝食時にはタンパク質の補給も忘れずに!
心身を健康な状態に保つために、朝食が大切であることを理解していただけましたか。
出勤前で慌ただしく、パンだけ、ご飯だけ、という方も多いと思われます。しかし、可能な限り、ご飯やパンに、たんぱく質を含む肉・魚・豆類、野菜、乳製品も加えた内容にしましょう。朝食でタンパク質を補給すれば、昼間には集中力が高まり、夜には睡眠がスムーズになります。
リズムのある1日の始まりは朝食から。今日から、栄養バランスの取れた朝食を実践してみましょう。