アップサイクル食材とは?農業副産物が食品になる流れ

最近、アップサイクルという言葉を耳にする機会が増えました。食品ロスを減らす取り組みの一つとして紹介されることも多く、環境にやさしい食べ物というイメージを持つ人もいるかもしれません。
しかし、実際には、どんな食品なのかと疑問に感じる人も多いのではないでしょうか。
この記事では、アップサイクルの意味を整理しながら、農業や食品加工の現場で生まれる副産物がどのように食品へと生まれ変わるのか、その流れを紹介します。
アップサイクルは3Rとどう違う?
アップサイクル(upcycle)という言葉は、1990年代にドイツの建築家らが提唱した概念に由来するとされています。もともとは、廃棄されるはずだった素材に新しい価値を加え、より価値の高い形で再利用するという考え方です。
環境分野では、よく「3R」という言葉も使われます。
リデュース(Reduce)はごみを減らすこと、リユース(Reuse)は繰り返し使うこと、リサイクル(Recycle)は資源として再利用することを意味します。
アップサイクルはこれらと似ていますが、単なる再利用ではなく、新しい価値を生み出すことが特徴です。
アップサイクル食材とは?
アップサイクル食材とは、本来は廃棄されていた原料を加工し直し、新しい価値を持つ食品原料として活用するものを指します。
農業の現場では、廃棄されやすい素材として代表的なものに規格外野菜と農業副産物があります。
規格外野菜とは?
規格外野菜とは、市場の出荷基準に合わない野菜のことです。味や栄養に大きな問題がない場合でも、形やサイズがそろっていないという理由で流通に乗らないことがあります。
スーパーでは、形や大きさがそろった野菜が並んでいます。しかし実際の畑では、すべての野菜が同じ形に育つわけではありません。
曲がったきゅうり、大きすぎるにんじん、傷のあるトマトなど、見た目の理由だけで出荷できない野菜は少なくありません。

こうした規格が存在する背景には、流通や販売の事情があります。箱詰めしやすいサイズや、売り場に並べやすい形など、商品として扱いやすい条件が求められるためです。
近年では、こうした規格外野菜をペーストやスープ、冷凍食品などに加工し、新しい食品として活用する取り組みが増えています。これもアップサイクルの一つの例です。
農業副産物とは?
もう一つの例が農業副産物です。
農業や食品加工の現場では、主製品を作る過程でさまざまな余剰素材が生まれます。
たとえば、豆腐を作る際に出るおから、ブロッコリーの茎、果汁を搾ったあとの果皮や搾りかすなどが挙げられます。
これらは食べられないわけではありませんが、保存性や流通の問題、用途の少なさなどから、これまでは飼料や肥料として利用されたり、廃棄されたりすることもありました。
最近では、こうした素材を食品として活用する研究や商品開発が進み、アップサイクル食品(アップサイクル食材を使った食品)として販売される例が増えています。
副産物が食品になるまでの流れ
農業副産物が食品として販売されるまでには、いくつかの工程があります。
まず最初に行われるのが、素材の分別と回収です。食品として利用できる部分を選び、品質を確認します。
次に加工工程へと進みます。洗浄や乾燥、粉末化などの処理を行い、保存性や使いやすさを高めます。たとえば、果物の皮を乾燥させてパウダーにしたり、野菜の端材をペーストにしたりする方法があります。
その後、食品として販売するために、衛生管理や品質検査、原材料表示などの確認が行われます。こうした工程を経て、パンやお菓子、調味料などの形で商品化され、ようやく市場に並びます。
アップサイクル食品は、単に余った食材を使うのではなく、分別・加工・品質管理を経て新しい食品として設計されているのです。
アップサイクル食品の事例
アップサイクル食品にはさまざまな種類があります。
例えば、下記が代表的な例です。
- 規格外野菜を使ったデザート
- 果物の皮や搾りかすを使ったジャム
- 穀物加工の副産物を使ったパン

こうした取り組みは、もったいないを減らすだけでなく、これまで注目されてこなかった素材を活かすことで、新しい味や食材の可能性を広げる動きとしても注目されています。