大麦
太古の昔から人類の命を支えてきた大麦
大麦はイネ科の穀物です。小麦と比べて、低温や乾燥に強く、栽培しやすいため、小麦の生産が難しい地域でも多く栽培されています。
- 科属:イネ科オオムギ属
- 学名:Hordeum vulgare
- 英名:Barley
大麦という名前の由来
大麦の「オオムギ」という読み方は、中国での呼び名「大麦(だいばく)」を訓読みしたものです。大麦の「大」は、小麦と粒の大きさを比べて、「大」とつけられたわけではありません。大は「本物であること。品質が良い。利用範囲の広い」、小は「代用品である。品質が劣る」という意味の接辞からきています。
大麦の歴史
世界でもっとも古くから食べられている作物の一つ。大麦の歴史は非常に古く、人類が原人だった時代から野生の大麦を食べていた可能性があると言われています。紀元前6000年ごろには、大麦は作物としてすでに栽培が始まっていました。栽培が始まったのは、メソポタミア文明発祥の地、チグリス・ユーフラテス両河流域あたりです。その当時の調理方法は、炒ったり粗挽きにしたりした粉を水に溶かしたお粥だったと考えられています。その後、人類が大陸を移動していくともに、大麦は世界各地に広がっていきました。 時を経て、日本に大麦が入ってきたのは弥生時代の3世紀のころです。大麦は小麦よりも先に日本に伝わりました。女王卑弥呼が邪馬台国を治めていたころです。
徳川家康のこだわり「麦ごはん」
弥生時代に中国を経由して日本に入ってきた大麦は、奈良時代には全国に広まり、平安時代のころには大麦とお米を混ぜて食べる「麦ごはん」が生まれました。 江戸幕府を開いた徳川家康は、当時では長寿と言われる75才まで生きましたが、若いころから健康に留意し、特に麦ごはんを好んで食べていたそうです。
大麦の特長
戦後の日本では、大麦は年間100万トンほど食べられていました。その後大麦の消費量は減り続け、2万トン程度まで落ち込みましたが、近年美容と健康に意識が高い人たちを中心に、大麦の人気が高まり、消費量が少しずつ伸びてきています。
便秘解消
大麦に含まれている食物繊維の量は、玄米の約3.2倍で、白米と比べたら約20倍。穀物の中では群を抜いて、食物繊維を多く含んだ食材です。野菜の中で特に食物繊維量が多いと言われるごぼうと比べても、倍以上の含有量を誇ります。 大麦には、水溶性食物繊維「β-グルカン」と不溶性の食物繊維がバランスよく含まれているため、便通がよくなり、腸内環境の改善につながります。
ダイエット効果
大麦に含まれているβ-グルカンは、体内に摂取したものをゼリー状に包んで、胃から腸へと時間をかけて移動させるので、消化吸収がゆっくりになり、血糖値が急に上昇するのを防いでくれます。ゆっくり消化されることで、満腹感が永く持続するので、小腹がすいて何かを口にしてしまうということがなくなり、1日の摂取カロリーを抑えることができます。
生活習慣病予防
大麦はβ-グルカンのおかげで、血糖値が急に上昇しないので、糖尿病の予防につながります。また、脂肪の吸収を抑える働きもあるので、動脈硬化など生活習慣病の予防にも期待できます。