身近な化粧品や医薬品、お菓子や調味料に含まれるカンゾウ(甘草)の効能とは?
カンゾウ(甘草)という植物の存在はご存知でしょうか。実は、私の身の回りの飴やグミなどお菓子にも含まれています。甘草には甘味成分であるグリチルリチン酸が多く含まれていて、カンゾウエキスや粉末は醤油やお菓子の甘味料として使われています。 今回は、カンゾウ(甘草)が含まれている身近なお菓子や調味料を紹介します。
カンゾウ(甘草)とは
甘草は「カンゾウ」と読みます。マメ科の多年草で、中国やロシア、地中海地方に自生している植物です。 高さは1mくらいになり、根に甘みを持っています。甘草の根を乾燥させたものが生薬として使われています。
醤油にも含まれる甘草は身近な存在!
甘草はしょ糖の50倍の甘さをもつ植物とされます。その甘さは古来より珍重され、調味料、菓子や売薬等に使われています。 日常馴染みのあるところで探すと、醤油があります。あの塩辛い味は甘草の甘味で引き立っているのです。仁丹にも多量に含まれています。 甘草の用途は大半が食用で、漢方薬として用いられているのはごく一部です。
出典:甘草のこころ|独立行政法人 労働者健康安全機構 鹿島労災病院
ビール・タバコ・スナック菓子にもカンゾウが使われています。
HARIBOのタイヤ味グミの原料は甘草
HARIBOの「シュネッケン」と言われるグミ。一度は流行りませんでしたか? 「これ美味しいから食べてみて!」と言って食べてもらうと大抵の人は渋い顔をします。
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このグミの原料は、「ラクリッツ(リコリス)」という植物で、日本では甘草と呼ばれています。つまり、このHARIBOの「シュネッケン」はリコリス菓子です。 日本人はどうやら味覚が合わないようですが、ヨーロッパやアメリカで親しまれているお菓子です。
スペインカンゾウが原料のリコリス菓子とは?
リコリス菓子はスペインカンゾウの根から抽出したエキスを元に加工して作られています。 北アメリカ、ヨーロッパでは子どもから大人まで広くに親しまれているお菓子です。
主なリコリスが含まれるお菓子
- グミ
- ドロップ
- サルミアッキ
- 清涼飲料
沖縄でしか飲めない「ルードビア」もカンゾウが含まれている!
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ファーストフードチェーン「A&W」は、沖縄にしかありません。その「A&W」イチオシの清涼飲料が「ルートビア」でおかわり自由!その味は「湿布」「保健室」などと言われています。 ルートビアは「root(根)」「beer(ビア)」という意味。「root(根)」に、バニラやリコリス(甘草)、サルサパリラの根が含まれいます。
フィンランド人が好物サルミアッキ! リコリス(カンゾウ)×塩化アンモニウムのお菓子
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日本では世界一不味い味とも言われています。日本人では苦手と感じる人も多いようです。 しかしフィンランドなどの北欧では大人気のお菓子です。 フィンランドには、サルミアッキを製造する製菓会社は何社かありますが、かの有名な「ファッツェル」もサルミアッキを販売しています。「ファッツェル(Fazer)」はチョコレートが非常に人気の製菓会社です。
カンゾウ(甘草)の歴史
「漢方の王様」と称される甘草が使用された歴史は、古代バビロニアに始まります。その後東西問わずに広まり、日本へは630年以降の遣唐使の派遣によりもたらされました。
出典:甘草|オブ・コスメティックス
カンゾウ(甘草)の成分
カンゾウの主成分は、下記になります。
- トリテルペンサポニン(グリチルリチンが60%を占める)
- フラボノイド(イソフラボン、リキルチン、イソリキルチン、フォルモネチン)
- ポリサッカロイド、ステロール、クマリン、アスパラギンなど
グリチルリチンの効能
トリテルペンサポニンは、サポニンに分類されるトリテルペン類で、5つの環を持つ炭素数30の化合物の一群です。グリチルリチンには、抗アレルギー作用、抗炎作用があります。 グリチルリチン酸、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルレチン酸は、カンゾウ(甘草)の根に含まれている抗炎症成分です。 グリチルリチン酸二カリウムは甘草の有効成分であり、抗アレルギー作用や抗炎作用があり、肌荒れやニキビのケアに効果が期待されます。
「グリチルリチン酸二カリウム」と「グリチルレチン酸ステアリル」の違い
グリチルリチン酸二カリウムはグリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸2Kとも言われます。グリチルリチン酸2Kは、医薬部外品の有効成分の一つ。強力な消炎作用があります。
グリチルリチン酸2Kは、カンゾウ根エキスの主成分である「グリチルリチン酸」の誘導体です。グリチルレチン酸ステアリルは油溶性の成分です。 そのため、クリームや乳液、オイル系の化粧品によく配合されています。効果の面でも違いがあり、グリチルレチン酸ステアリルのほうが、炎症、アレルギーに対して抑える力が強いと言われています。
出典:グリチルリチン酸2K・グリチルレチン酸ステアリル|キレイノアンテナ
フラボノイドの効能
フラボノイドはポリフェノールの一種であるので抗酸化作用、デトックス作用、アンチエイジング、ストレス緩和、がん抑制、免疫を整える、血液サラサラなど様々な効果があります。 野菜や果物に含まれるフラボノイドによって働きも異なります。 出典:フラボノイドの種類と効果と摂取量|健康長寿ネット
まとめ カンゾウ(甘草)の用途
カンゾウ根エキスの主成分グリチルリチン酸の誘導体「グリチルレチン酸ステアリル」は、クリームや乳液、オイル系の化粧品によく配合されています。 同じく誘導体の「グリチルリチン酸2K」は、水溶性の成分で、化粧水などに配合されています。 またカンゾウを茶葉として作るカンゾウ茶は健康茶としても飲まれています。 カンゾウ茶はのどの痛み、腹痛、抗アレルギー作用、抗炎症作用、ストレス解消など幅広い効能があります。
グリチルリチン酸は、マメ科カンゾウの根などから抽出した甘み成分です。その甘さは、砂糖の200〜700倍程度と言われており、高甘味度甘味料として食品に添加されています。 グリチルリチル酸は医薬品や化粧品にも広く使用されています。医薬品には、甘草の薬効として、解毒、鎮咳、抗炎症作用、抗アレルギー作用など様々な特徴が活用されています。 また、アメリカではグリチルリチン酸は、甘味料として菓子類に使用されたり、タバコや矯味剤に使用されたりしています。
出典:グリチルリチン酸とは?副作用も心配される添加物|たべるご