冬至の日に、なぜ「柚子湯」や「カボチャ」?
2022年は12月22日が冬至(とうじ)。冬至を境に、寒さがいっそう厳しくなっていきます。
冬至にやることや冬至の日に食べるもの、イメージできますか。
冬至の日は、寒い季節を無事に乗り切ろうと、冬至に縁起物の野菜を食べたり、柚子を浮かべたお風呂に入ったりして、健康や運気の上昇を祈る風習が古くから続いてきました。冬至の日の過ごし方、食べるものについてお話します。
冬至とは?
毎年12月21日または22日になると、北半球で日の出から日の入りまでの時間が最も短くなります。つまり、最も昼の時間が短くなる日が冬至なのですね。2022年は12月22日が冬至にあたります。
冬至を「1年間で最も寒い日」と誤解している方もいますが、最も寒くなる季節は1月から2月にかけて。これは、太陽の日射量が少なくなる影響が、時間差で生じるからです。
冬至にやること、食べるもの
冬至には「柚子湯」が定番
世界に目を向けると、中国にとって冬至は重要な行事で、水ギョウザを食べる習わしがあります。台湾や中国の一部では、団子料理の「湯円」を楽しむことも。北欧の「ユール」は冬至の祝祭として知られています。
日本では、冬至の日に「柚子湯」に入ることが代表的な風習で、多くの家庭で行われています。柚子湯は江戸時代に始まったと言われていますが、由来については諸説があります。
その1つに、柚子の厄除け効果を期待したという説も。柚子は強い香りが特長で、この香りによって邪気が生じないとされてきました。信じるかどうかはさておき、柚子の香りは入浴をいっそう快適なものにし、気分を癒してくれます。
また、「冬至」と「湯治」の語呂合わせで、「融通が利く(柚子が効く)」として、柚子湯に浸かることで健康を祈願したという説もあります。
現在では、柚子の健康効果に着目し、寒い季節に柚子湯でしっかりと体を温め、健康でいられるようにするという意味合いが強いようです。というのも、柚子にはビタミンC、クエン酸、ペクチンなどの成分が豊富に含まれているからです。
冬至の日には「カボチャ」を食べる
前述したように中国や台湾などには、冬至の日に食べる料理があります。日本では、古くから冬至の日に「カボチャ」を食べる風習が続いてきました。
冬至にカボチャを食べるようになったのは、江戸時代よりも後だと考えられていますが、詳細ははっきりしません。カボチャはβ-カロテンやビタミンB群、食物繊維などが豊富。栄養価の高いカボチャを食べて、寒い季節を乗り切るという目的で始まったと言われています。
カボチャは長期保存が可能な野菜の1つ。現在はビニール栽培や輸入によって、年間を通してさまざまな野菜を入手できますが、かつては長期保存が可能なカボチャは貴重な存在だったわけですね。
冬の七草、小豆粥も
冬至の日に「冬の七草」を食べる風習も残っています。カボチャ(ナンキン)をはじめ、レンコン、ニンジン、ギンナン、キンカン、カンテン、ウンドンの7種です。これらは「冬至の七草」とも呼ばれます。
お気づきかもしれませんが、それぞれの野菜の名前には「ン」が2つずつ入っています。「運」を呼び込めるということで、縁起の良い野菜とされてきたわけです。
また、冬至に「小豆粥」を食べる家庭も多いのではないでしょうか。古くから、小豆の赤い色には邪気を払う効果があると信じられてきたためです。冬至に食べる小豆粥は、「冬至粥」とも呼ばれます。
冬至の日には、古くから伝わる風習を家庭で実践
冬至には昼の時間が最も短くなり、その後、寒さが厳しくなっていきます。古くから伝わる柚子湯、カボチャ、冬の七草、小豆粥には、縁起の良さに加えて、健康面でもプラスになります。
あなた自身や家族の健康を祈って、冬至の日には伝統的な風習を取り入れてみましょう。