中年太りの仕組みを解明、加齢が過栄養(飽食)の原因?
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食べているものも、生活スタイルもそれほど変わらないのに、30歳を過ぎた頃からなぜか太り始めた、やせにくくなった、というのはよく耳にする話。
中年太りとは、加齢とともに基礎代謝量の低下し、さらに運動量が減ってしまい、起きると考えられていました。一度、太るとなかなか体重を戻せない。
しかし、加齢に伴って代謝が低下する原因やメカニズムはわかっていませんでした。
この多くの人の悩みでもあった「中年太り」のメカニズムが解明され、話題となっています。
代謝や摂食を調節する脳の視床下部のニューロンに着目
名古屋大の研究グループは、加齢に伴って代謝が低下する原因やメカニズムの解明にあたって、代謝や摂食を調節する脳の視床下部のニューロン(神経細胞)に着目し、ラットの実験を行いました。
抗肥満機能を持つMC4R(メラノコルチン4型受容体)の細胞は、脳の視床下部の神経細胞の一次繊毛(いちじせんもう)に存在しています。
一次繊毛は細胞外にあり、各ニューロンが1本ずつ持ち、アンテナとして機能し、細胞の外からの情報を細胞内に伝えるなどの役割を果たしています。
ラットの実験から、一次繊毛が加齢に伴って縮むことがわかりました。さらに飽食状態でも一次繊毛が短くなり、食べる量を制限すると抑制されました。
加齢が過栄養(飽食)の原因?
一次繊毛の長さが「痩せやすさ」を決定し、一次繊毛は加齢や飽食によって短くなり、中年太りにつながることが解明されました。
加齢によって、飽食状態なのかシグナルを受け取りにくくなるため、太りやすくなってしまうということです。加齢によって失われてしまった一次繊毛が摂餌制限によって回復したことは、肥満の治療に大きな希望を与える実験結果です。
肥満の根本的な治療法の開発に期待
名古屋大の研究グループでの研究で、一次繊毛が加齢に伴って退縮する現象は世界で初めて発見されました。さらに名古屋大の研究グループは一次繊毛の退縮を抑制する方法として、摂餌制限や遺伝子操作手法を見出しました。一次繊毛の退縮を生活習慣病の未病の段階で発見し、肥満の根本的な治療法の開発が期待されます。