肌や毛髪のダメージを改善する「桃の葉」のパワー
3月3日はちょうど桃の節句。中国では桃の木は邪気払いに効果があると言われ、桃の木を飾ったり、桃の花のお酒を飲んだりする風習がありました。
最近では、桃は化粧品としても注目されていて、ドイツBSB社が主催する「化粧品原料の賞 BSBイノベーションプライズ」の2019年度の化粧部門で受賞原料に山梨モモ葉エキスが選ばれました。
邪気払い、生薬、化粧品など多方面で活躍をする桃について紹介します。
桃の節句に桃の木が邪気を払う?!
3月3日は桃の節句――女の子の成長を願う行事として知られていますが、昔は「上巳(じょうし)の節句」と呼ばれて無病息災を願う厄祓い行事でした。
季節の変わり目である上巳の頃は、災いをもたらす邪気が入りやすいと考えられていました。
この「上巳の節句」は徐々に変化していき、5月5日の男の子の節供に対して女の子の節供となり、雛人形が飾られるようになりました。また、桃の開花と重なること、桃の木が邪気を払う効果のある神聖な木であることから、「桃の節句」と言われるようになり定着していきました。
本当の桃の開花はいつ頃なの?
ひな祭りに飾る「桃の花つきの枝」の流通のピークは2月中旬~ひな祭りまでですが、本来の桃の花の開花は3月中頃以降です。桜や梅と開花時期は変わらない花木です。
ひな祭りで開花している桃の花つきの枝は、生産者さんが温室で管理し、開花を早めて、色づいた段階で流通さえているものです。
桃の木はバラ科サクラ属の落葉小高木。原産地は中国で3月中旬以降から4月の上旬頃まで薄桃色の花を咲かせます。葉は花より遅れて茂ります。桃の葉を湯に入れた桃葉湯はあせもなど皮膚の炎症に効くとされています。桃の実は7月から8月に実ります。
肌に良い?!桃の葉の利用方法
桃は、実・葉・種・花と、すべてに栄養や効能が含まれており、捨てる部分がないといわれる優れた植物です。意外に思うかもしれませんが、桃の葉も利用することができるんです。
特に桃の葉は肌にいいとされていて、化粧品の原料成分としても注目されています。桃の葉エキスを抽出すると、あせもや肌荒れ、湿疹の皮膚疾患に良いとされてきました。桃の葉がどんなところに活用されているか紹介します。
桃葉湯(とうようとう)
桃湯、桃の葉湯などとも言われ、桃の葉を入れた風呂のことです。桃の木は邪気を払うという言い伝えにあやかり、夏の土用に暑気払いの意味も含めて桃の葉湯に入る習慣が日本でもありました。
桃の葉にはタンニンなど消炎・解熱に有効な成分が含まれていて、日焼けや、あせも・湿疹・虫さされなどとトラブルの多い夏の肌に効果的と言われています。
刻んだ葉を風呂に入れて夏場のあせもや湿疹、かぶれ、荒れ症などの予防や改善に期待されることから、今でも桃の葉は浴湯料としてよく知られています。
出典:https://www.instagram.com/jnfsekine/
桃の葉ローション
プールなどの塩素のダメージで、酸化ストレスが炎症や角化関連遺伝子の発現異常を引き起こし、肌の状態を悪化させることがわかっています。
桃の葉エキスは、塩素によるダメージを軽減することがヒト試験により実証されています。
特に、毛髪や肌にダメージを受けているプールに通う人にオススメです。
桃の葉エキスを使った化粧品
桃の葉エキスはスキンケア化粧品、メイクアップ化粧品、洗顔料にも利用され、特に紫外線のダメージを抑制することが期待されています。
紫外線を浴びた皮膚では活性酸素が発生します。活性酸素の働きによって炎症性サイトカインの産生が促され、炎症性物質が産生され、炎症へとつながります。ロスタグランジンE₂は炎症性物質の一つで、モモ葉エキスにはプロスタグランジンE₂産生抑制作用が認められています。
桃の葉茶
桃の葉茶はカフェインを含まないお茶で、就寝前にも寝つきを気にせずに飲むことができます。
タンニン、マグネシウム、オレイン酸、アミグダリン、エルムシンが含まれていてます。オレイン酸は整腸作用や便秘改善の効果が、カリウムやマグネシウムにはむくみ改善の効果が期待できます。
乾燥した桃の葉から抽出した桃の葉茶を飲用した場合でも内側からの美肌効果が期待できると考えられています。