新たに承認された美白有効成分「グリチルレチン酸ステアリルSW」とは?

2023年10月、「グリチルレチン酸ステアリルSW」が厚生労働省から美白有効成分として承認されました。シミや肌荒れに悩む人にとって、注目の新成分です。
「グリチルレチン酸ステアリルSW」の効能と検証結果について具体的に説明します。
グリチルレチン酸ステアリルSWとは?
グリチルレチン酸ステアリルは、古くから用いられてきた和漢植物である甘草の根から得られる成分の油溶性誘導体です。
日本では、甘草は古くから漢方薬として利用されてきました。甘草の根は、甘草湯 (かんぞうとう)や葛根湯 (かっこんとう)などがあります。甘味料としても利用されていて、実はとっても身近な食品にも使われています。
そんな甘草の根に由来する成分は、化粧品にも配合されていたのです。甘草の根は、漢方、食品、化粧品と幅広く活用されています。
グリチルレチン酸ステアリルは、抗炎症効果をもつことで知られていて、既に承認されている「肌あれ・あれ性」といった医薬部外品の有効成分として認められていました。
グリチルレチン酸ステアリルSWは、コーセーとグリチルレチン酸誘導体のトップメーカーである丸善製薬との10年以上にわたる共同研究により開発されました。開発されたグリチルレチン酸ステアリルSWは、シミの一因である炎症を抑え、優れた美白効果を発揮することが示され、厚生労働省より美白有効成分としての承認を取得。
- 肌あれを防ぐ(抗炎症作用)
紫外線や摩擦などの刺激によって起きる肌の炎症を抑える。
肌トラブルの原因を根本からケア。 - シミ・そばかすを防ぐ(美白効果)
紫外線によって肌に起きる炎症を防ぎ、メラニンができにくくなる。
炎症の原因となる「プロスタグランジンE2(PGE2)の生成を抑える。
シミのメカニズムとグリチルレチン酸ステアリルSWの働き
グリチルレチン酸ステアリルSWは、メラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぎます。
そもそもシミの主な原因は紫外線で、紫外線を浴びることで肌に炎症が起き、その刺激がメラノサイトに伝達されるとシミのもとになるメラニンが産生されます。
日焼けと色素沈着のメカニズムは下記になります。
- 肌に炎症が起きる
- メラノサイトが刺激される
- メラニンが生成される
- ターンオーバーの周期が乱れるとメラニン色素が肌に留まる
しみ・そばかすは、「炎症」から始まります。グリチルレチン酸ステアリルは、抗炎症効果があるため、色素沈着のメカニズムの最初のステップである「1.肌に炎症が起きる」に対して効果があります。
グリチルレチン酸ステアリルの効果検証
グリチルレチン酸ステアリルSWの美白効果を検証するため、研究が行われました。グリチルレチン酸ステアリルSWの美白効果を検証するため、紫外線による色素沈着への効果も検証しました。
まず肌に紫外線を照射し、グリチルレチン酸ステアリルSW配合製剤および同成分を配合していないプラセボ製剤をそれぞれ28日間連用することで、紫外線照射による色素沈着の度合いを評価しました。
その結果、グリチルレチン酸ステアリルSW配合製剤を塗布した部位では、プラセボ製剤を塗布した部位に比べ、色素沈着の形成が抑えられることが確認できました。
紫外線によって形成されるシミは、紫外線を浴びることで表皮細胞における炎症性因子のひとつであるプロスタグランジンE2(PGE2)の産生が増加し、それが刺激となってメラノサイトが活性化することで生じます。抗炎症作用を有するグリチルレチン酸ステアリルSWは、炎症性因子の産生を抑制することができ、美白効果を発揮します。
グリチルレチン酸ステアリルSW配合製剤の肌効果
グリチルレチン酸ステアリルSWを配合した化粧水をシミに悩む実験参加者30名に12週間連続使用してもらい、試験開始時と連用後の肌やシミの色の変化や透明感を評価しました。その結果、連用後は連用前に比べて、肌の赤み・色むらが減少し、明るさ・透明感が有意に改善しました。
新たな美白成分として承認されたグリチルレチン酸ステアリルSW。
肌あれやシミやくすみにといった悩みを抱えている方にとっては嬉しいW効能を有しています。2024年3月より「薬用雪肌精 ブライトニング エッセンス ローション」には、グリチルレチン酸ステアリルSWが配合され、シミ予防と肌あれケアの両方を同時に叶える化粧品にパワーアップしました。
グリチルレチン酸ステアリルSW配合された商品も選択肢の一つになるのではないでしょうか。
参考資料
コーセー独自の美白有効成分として 「グリチルレチン酸ステアリルSW」の美白効能の承認を取得 美白・肌あれ防止のW効能へ