なぜ夏は睡眠不足になりやすいのか。パフォーマンスや肌にも影響…

夏になると「夜中に何度も目が覚める」「朝起きても疲れが残っている」「寝たはずなのに眠気が取れない」と感じる人が増えます。気温や湿度が高い日本の夏は、睡眠の質が低下しやすい季節です。
エアコンをつければ冷えすぎ、切れば暑くて眠れないという経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。
2026年7月3日~7月8日に実施された『今夏の睡眠に関する実態調査(パナソニック「エオリア」調べ)』では、「今年の夏、睡眠に満足していない」と回答した人が54%。
「今年の夏、寝ている間に暑さで目が覚めることはありますか?」という質問では、「暑さで目が覚める」と53%が回答、そのうち87%が「再び寝つきにくい」と回答。

厚生労働省は、成人の場合で6時間以上の睡眠時間を確保することを推奨していますが、具体的な今夏の睡眠時間について調査したところ、50%が6時間未満であることがわかりました。
「夏の睡眠不足が自身のパフォーマンスに影響していますか?」という質問では、「とても影響している」26%、「やや影響している」62%と、88%が「睡眠不足が日中のパフォーマンスに影響を及ぼしている」と回答しました。
日本における慢性的な睡眠不足は、もはや個人の健康問題にとどまらず、深刻な社会課題となっています。成人に必要とされる1日6時間以上の睡眠が確保されていない現状は、集中力や判断力の低下、生産性の低下、さらには生活習慣病のリスク増大など、さまざまな悪影響をもたらしています。
米ランド研究所の試算によれば、日本では睡眠不足によって年間20兆円の経済損失が生じている可能性があるとされています。これは、労働パフォーマンスの低下に加え、事故、健康維持の困難、子どもの発達や将来性への悪影響など、社会全体に広がる損失を含んだ数字です。
睡眠不足はもはや「国民病」とも言える状況にあり、睡眠の重要性を再認識し、質の高い睡眠環境を整えることが求められています。
睡眠評価研究機構代表、医学博士、白川 修一郎先生
夏場の肌トラブルは睡眠不足の影響あり
さらに寝不足で肌が荒れることもわかっています。
睡眠中に分泌される成長ホルモンの減少により肌のターンオーバーが乱れるためです。特に夏場は熱帯夜による睡眠の質低下が重なり、ニキビ・肌荒れ・くすみといった肌トラブルが起こりやすくなります。
医療法人社団鉄結会が運営するアイシークリニック(新宿院・渋谷院・上野院・池袋院・東京院・大宮院)は、夏本番を迎え熱帯夜による睡眠不足が懸念される中、全国の20〜50代の男女300名を対象に「夏の睡眠と肌コンディションに関する調査」を実施しました。
6時間未満睡眠と6時間以上睡眠の肌のトラブルを比較すると、夏場の肌トラブルと睡眠不足の間に強い関連性があることがわかります。
| 比較項目 | 6時間未満睡眠 | 6時間以上睡眠 |
| 夏の肌トラブル経験率 | 79.2% | 44.1% |
| ニキビ・吹き出物の発生 | 67.4% | 38.6% |
| 肌のくすみ・ごわつき | 58.9% | 31.2% |
| 乾燥・かさつき | 52.3% | 29.7% |
熱帯夜の影響で8割以上の人が睡眠の質の低下を感じており、睡眠時間6時間未満の人は6時間以上の人と比べて肌トラブルの発生率が約1.8倍高いという結果が出ています。
肌の細胞は睡眠中に最も活発に修復・再生されます。特に入眠後約3時間の深い睡眠(ノンレム睡眠)時に成長ホルモンが大量に分泌され、このホルモンが肌のターンオーバーを促進し、日中に受けた紫外線ダメージや酸化ストレスからの回復を助けます。睡眠時間が不足したり、熱帯夜で睡眠が浅くなったりすると、この成長ホルモンの分泌が減少し、肌の修復が不十分になります。
睡眠不足は自律神経のバランスを乱し、皮脂分泌を増加させる原因となります。過剰な皮脂は毛穴詰まりを引き起こし、ニキビや吹き出物の発生リスクを高めます。さらに、睡眠不足による免疫機能の低下は、アクネ菌などの細菌への抵抗力を弱め、炎症性のニキビが悪化しやすくなります。
アイシークリニック 髙桑康太医師
また、夏場に最も気になる肌トラブルは「ニキビ・吹き出物」が34.7%で最多となりました。睡眠不足による皮脂分泌の乱れや免疫機能の低下がニキビの発生に関係していると考えられます。また「肌のくすみ・ごわつき」も18.7%と高く、ターンオーバーの乱れを示唆する結果となっています。
夏場の睡眠環境を整え、セルフケアを怠らないようにしましょう。