秋の睡眠の日。世界一睡眠時間が短い日本…企業の取り組みとは
9月3日は「睡眠の日」です。「睡眠の日」は、春(3月18日)と秋(9月3日)の年2回あり、日本睡眠学会と精神・神経科学振興財団が設立した睡眠健康推進機構が、睡眠健康への意識を高めることを目的に制定しました。 秋の睡眠の日にちなんで、世界と比べた日本の睡眠の質や時間についてご紹介します。世界と比べて睡眠の質と睡眠時間のスコアが低い日本において、この睡眠をより良くしていくためには企業の取り組みも欠かせないでしょう。睡眠をはじめ、ウェルビーイングに対して積極的なサニーサイドアップグループの制度を紹介します。
世界一睡眠時間が短い日本
経済協力開発機構(OECD)の21年版調査では、日本人の平均睡眠時間は7時間22分で、OECD30カ国のうちで最下位でした。加盟国の平均睡眠時間は、8時間24分で、日本は1時間あまりも少ない結果となっています。
- 1位:エストニア(530分)
- 2位:アメリカ(528分)
- 3位:ニュージーランド(526分)
- 4位:カナダ(520分)
- 5位:ルクセンブルグ(518分)
- 6位:スペイン(516分)
- 7位:トルコ(515分)
- 8位:イタリア(513分)
- 9位:フランス(513分)
- 10位:ベルギー(513分)
- 30位:日本(442分)
さらに厚生労働省が今年1月に公表したデータによると、睡眠時間が7時間以下の人の合計が67.7%におよび、日本人は全体的に睡眠不足であると言えます。
日本は睡眠の質も最下位
ヘルステックカンパニーのフィリップスは、「世界睡眠の日」に合わせて、2017年から全世界で行っている睡眠に関する調査を実施しています。2021年の調査では、新型コロナウィルス感染症拡大の影響が世界の人々の睡眠にどのような影響を与えたのか、にフォーカスを当て、 全世界13カ国の成人13,000人に対して調査を行いました。
世界では新型コロナウィルス感染症拡大により睡眠にネガティブな影響を受けた人の割合は全体の37%でしたが、日本でも回答者のうち約半数の48%が新型コロナウィルス感染拡大により睡眠に影響があったと回答しました。
中でもネガティブな影響を受けた項目として最も多かったのはストレス(44%)で、続いて精神的健康(38%)、身体的健康(27%)となりました。睡眠習慣に影響を受けた人も20%いました。
18-34歳の若い世代は、他の世代に比べてネガティブな影響を受けている割合が高い結果となりました。また、男性よりも女性のほうが高い影響を受けていることも分かりました。
さらに、昨年に引き続き、日本人の睡眠時間は調査した国の中で最も少なく、睡眠に対する満足度も29%と最も低い結果となりました。
さらに、携帯電話を就寝前に見ている人は84%にも上りました。
- 就寝前に携帯電話を見ている人は84%
- COVID-19 のパンデミックや政治イベントに関するニュースを読む人は37%
- 就寝前にソーシャル メディアをスクロールしている人は73%
パンデミックに加えて、人々は心配/ストレスを感じ、睡眠に影響を与えていると回答しています。
- 経済的な問題について (53%)
- 仕事の責任 (44%)
13カ国の平均睡眠時間は、平日6.9時間、休日7.7時間。最適な睡眠時間は個人差がありますが、成人の多くは1日7〜9時間の睡眠が最適(*1)とされていることを考えると、睡眠不足気味といえそうです。今回の調査では、睡眠の改善は世界共通の健康課題であることがあらためて浮き彫りになったのです。
睡眠時間が短いと、どんな悪影響はあるの?
ねむりのDXカンパニーNo.1をめざすNTT PARAVITA によると、イギリスでは、7時間以上睡眠を取っている人と生産性を比較した場合、睡眠時間が 6〜7時間の人は1.5%低下し、6時間未満の人は 2.4%低下したという研究結果(*2)があります。また経済産業省の調査(*3) によると、睡眠に問題がある場合とそうでない場合の生産性損失コストの差は、年間約32万円/⼈になると試算されています。このことから、健康経営に睡眠改善が欠かせない要素となっています。
毎日きちんと眠っているつもりでも、必要な睡眠時間に対するわずかな不足分がまるで借金(負債)のようにじわじわと積み重なっていく状態を「睡眠負債」といいます。徹夜明けであれば明らかに強い眠気を感じますが、毎日の睡眠時間が少し短いといった生活を送っていると、日中の眠気を感じなくなり、自覚のないうちに脳のパフォーマンスが低下しています。
睡眠負債が積み重なると、自分でも気づかないうちに集中力や記憶力、創造性が低下してしまい生産性に影響し、さらには太りやすさが上昇したり、高血圧やがん、認知症、心疾患、といった疾病リスクや死亡リスクも上がることも明らかになっています。(*4 )
裏を返すと、睡眠負債の解消は業務における生産性向上と健康の維持・向上につながる施策であり、「ねむりのあれこれ」は、睡眠センサーと専門家による睡眠のパーソナルトレーニングで従業員の睡眠改善をサポートし、睡眠負債の解消をめざします。
【睡眠改善で期待できる効果の一例】
・集中力の向上
・記憶力の向上
・感情抑制機能の向上
・高血圧、がん、II型糖尿病、抑うつ症状、認知症、心疾患発症等の疾病リスク上昇の予防
・死亡リスク、自殺リスク上昇の予防
・ウイルス感染率上昇の予防
・メタボ対策
日本の企業の睡眠に対する取り組み
睡眠時間に関しては、労働環境のカルチャーや拘束時間によるところが大きい部分もあります。また、睡眠への影響を与える要素としては、「経済的な問題について」「仕事の責任」が大きく、仕事におけるストレスは睡眠の質を下げてしまう可能性が伺えます。
十分な睡眠をとることは、脳の疲労回復や記憶の定着、ストレス解消につながるとされており、厚生労働省が掲げる睡眠指針においても、睡眠が不足することで作業効率や生産性が下がり、結果的に仕事の能率を下げると言われています。コロナ禍を経て、心身ともに健康的な状態を示す「ウェルビーイング」への関心が世界的に高まっている中、健康な状態に「備える」という観点でも「睡眠」の重要性が近年注目されています。
企業内で睡眠や健康について取り組むことで、より良く働き生活していけることもあるのではないでしょうか。
サニーサイドアップの取り組み
株式会社サニーサイドアップグループは、2022年9月1日(木)、メンバー一人ひとりにとって働きやすい環境を醸成することで、より豊かな人生を送ることができるよう、睡眠健康推進機構が定める「秋の睡眠の日」(9月3日)に合わせて、独⾃の福利厚⽣制度「32(サニー)の制度」をアップデートしました。
サニーサイドアップグループでは、「32の制度」は、「幸せは歩いてこない」「目指せA身体」「シエスタ」制度など、ユニークな福利厚生制度として、社会の流れに合わせ、メンバーの声を反映しながら日々、運用しています。2022年3月の「AMH検査」の費用補助、7月の「精液検査」の費用補助の追加に続き、メンバーの身体的・精神的な健康状態の維持、また日中の集中力、個人の業務パフォーマンス向上のキーとなる「睡眠」に注目。適度な睡眠時間を確保することで、メンバーのウェルビーイングな働き方をサポートすべく「寝る子は育つ」制度を新設しました。
「寝る子は育つ」制度とは
サニーサイドアップグループでは、メンバーの就業中の睡眠タイムを認める既存の「シエスタ制度」に続き、メンバーが十分な睡眠時間を確保することで、より一層心と身体の健康を維持できるよう「寝る子は育つ」制度を新設されました。メンバー全員の日々の睡眠時間をスマートフォンアプリを利用して計測。毎月平均7時間以上の睡眠をとったメンバーに報奨金3,200円をおくります。メンバー一人ひとりが十分な睡眠をとることで、日中の集中力を高め、個人の業務パフォーマンスの向上を目指します。テレワークの増加など、働き方がこれまでと大きく変わるアフターコロナ時代で、個人の健康維持をサポートすることで、組織としてのクリエイティビティ創造と生産性向上を推進します。
“たのしく働き、たのしく生きる”ための独自の福利厚生「32の制度」とは
「たのしいさわぎをおこしたい」のスローガンをもとに、メンバーが楽しく充実した⽣活を送れるよう2011年に制定された独自の福利厚生です。「たのしいさわぎ創造⽀援」「恋愛勝負休暇」「失恋休暇」「誕生日休暇」「幸せは歩いてこない」など、当社らしさが盛り込まれた制度で構成されています。時代の潮流にあわせて適宜アップデートを図っており、「一人ひとりが自分らしく働ける環境づくり」を推進しています。
32の制度⼀覧 https://www.ssu.co.jp/corporate/32rule/
参考
*1 Basics About Sleep| U.S. Department of Health & Human Services
Seeking solutions: how COVID-19 changed sleep around the world( Philips)
*2「Why Sleep Matters—The Economic Costs of Insufficient Sleep」(Marco Hafnerほか、2016年)
*3 「企業の『健康経営』ガイドブック~連携・協働による健康づくりのススメ~ (改訂第1版) 」
*4「基礎講座 睡眠改善学第2版」(白川修一郎ほか、2019年)
「Bidirectional associations of sleep with cognitive interference in employees' work days」(Soomi Leeほか、2019年)