米ぬか発酵物に糖代謝の改善作用
食品・化粧品・医薬品などの原料メーカーである丸善製薬は、ヒト試験によって、米ぬか発酵物含有食品の摂取による糖代謝の改善効果を確認しました。
米ぬか発酵物含有食品については、既に腹部脂肪の低減効果も報告されていましたが、今回の研究によって糖代謝の改善作用といった新たな作用が確認され、米ぬか発酵物含有食品の可能性が広がっています。
ポリフェノールの代謝産物(HMPA)を含む米ぬか発酵物
米ぬかは、玄米の表面にある「ぬか層」などを削って精米にするときに発生します。米ぬかにさまざまな健康に役立つ成分が含まれていることは、ご存じかと思います。
今回の研究では、「HMPA」という成分を含む米ぬか発酵物に着目し、健康に対する効果を検証しました。HMPAはクルクミン、γ-オリザノール、ヘスペリジンなどのポリフェノールを摂取した際に生じる代謝産物です。
米ぬか発酵物の食後血糖値に及ぼす影響を検証
研究グループは、日本人の40歳以上65歳未満の健康な男女を対象に試験を実施。米ぬか発酵物の食後血糖値に及ぼす影響を検証しました。
試験の内容は、被験者を2つのグループに分けて、一方のグループに米ぬか発酵物100mgを含む食品、もう一方のグループには米ぬか発酵物を含まない食品(プラセボ)を摂取してもらうというもの。それぞれ4週間にわたって継続して摂取してもらい、食後に上昇する血糖値の変化を調べました。
※このような試験方法を「ランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験」と呼びます。信頼性の高い手法として、サプリメントや医薬品の効果の検証で用いられます。
糖代謝の改善作用を確認
試験の結果、米ぬか発酵物を含む食品のグループはプラセボのグループと比べて、食後に上昇する血糖値を低減させることが確認されたと報告しています。
検査当日は、米ぬか発酵物を含む食品を摂取せずに、食後血糖値への影響を調べました。このことから、試験で示された効果は、糖吸収阻害作用によるものではなく、糖代謝改善によるものと考察しています。
研究グループは今回の試験で、米ぬか発酵物含有食品の摂取により、健康な成人の糖代謝を改善し、食後に上昇する血糖値を低減させることが示唆されたとしています。
腹部脂肪の減少効果も確認
同社は、米ぬか発酵物含有食品の摂取による腹部脂肪の減少効果についても、ヒト試験で確認しています。 20歳以上65歳未満の健康な日本人男性を対象に、ランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験を実施しました。
被験者を2つのグループに分けて、一方のグループに米ぬか発酵物100mgを含む食品、もう一方のグループにはプラセボをそれぞれ12週間、継続して摂取してもらいました。
各グループの被験者の腹部脂肪面積を見ると、米ぬか発酵物を含む食品のグループはプラセボのグループと比べて、有意に低下したと報告しています。
米ぬか発酵物含有食品の安全性を評価
研究グループは同時に、米ぬか発酵物含有食品の安全性についても評価しました。問診、身体計測、生理学的検査、血液検査、尿検査などの結果を基に試験責任医師が検討。その結果、今回の試験で副作用は認められませんでした。また、米ぬか発酵物含有食品と因果関係が認められる有害事象も確認されなかったといいます。
研究グループは、米ぬか発酵物含有食品の摂取により、腹部脂肪の低減効果が確認されるとともに、安全性に問題がないことが示されたとしています。