大豆
大豆は、和食に欠かせない味噌やしょうゆ、豆腐や納豆などの原材料に用いられます。また、食用油として搾油されたり、家畜のエサにされたりと、余すところなく利用されます。大豆は「畑の肉」と言われるように、多くのたんぱく質を含み、食物繊維も豊富。大豆イソフラボンや大豆レシチンなど、特有の成分の健康効果も注目されています。
大豆はどんな植物からできてるの?
大豆はマメ科の1年草。原産地は東アジアで、5,000年ほど前から栽培されてきたと伝えられています。日本では弥生時代から栽培されてきました。現在では、米国やブラジルなどで大規模に生産されています。
豆腐、納豆、味噌、しょうゆ・・・和食に欠かせない原材料
大豆の用途は幅広く、さまざまな加工食品や調味料に利用されます。種子は食用油として、その搾りかすは主に家畜のエサとして用いられます。
日本では古くから、和食に欠かせない食材・調味料の製造で大豆を使用してきました。大豆を原材料に使用した食品として、真っ先に頭に浮かぶのは、豆腐や納豆ではないでしょうか。
油揚げ、煮豆、味噌、しょうゆも代表的な大豆製品。また、節分でまく煎り豆は、おつまみとしても人気があります。このほか、ゆば、豆乳、きな粉などもあります。
日本国内の大豆の産地は?
日本国内の大豆の産地は、全国各地に分散しています。1,000ha以上の作付面積は24道県を数えます。
作付面積のトップは北海道。これに次いで、宮城、秋田、福岡、佐賀、滋賀、山形、青森、愛知、富山が続きます。北海道は畑作が5割程度を占め、その他の地域では転作の水田作が中心となっています。
大豆の生産状況(2019年産)を見ると、作付面積は全国合計で前年比2%減の14万4,000ha、収穫量は同3%増の21万7,000万トン。
国内最大の産地は北海道、自給率は7%で大部分を輸入に依存
これに対して、日本の大豆の需要量は350万トン以上に達し、自給率はわずか7%にとどまっています。食用油の原料用を除く、加工食品用に限定しても自給率は25%くらいです。
不足分は海外からの輸入に頼っています。最大の輸入先は米国で、輸入全体の約7割を占めます。次にブラジル、カナダが続き、中国からも輸入しています。
大豆の品種は?
日本で栽培される大豆には、さまざまな品種があります。貴重な国産大豆は、主に豆腐や煮豆が用途先となります。
「フクユタカ」「ユキホマレ」「里のほほえみ」など多様な品種
人気の品種は、「フクユタカ」「ユキホマレ」「里のほほえみ」「リュウホウ」「エンレイ」。「フクユタカ」は東海や近畿、「ユキホマレ」は北海道、「リュウホウ」は東北、「里のほほえみ」は関東、「エンレイ」は北陸で人気があります。この5品種だけで、全作付面積の半分以上を占めています。
大豆の栄養価は?
大豆は「畑の肉」と呼ばれるように、たんぱく質をたくさん含んでいます。国産大豆100gあたりのたんぱく質の含有量は33.8gで、3割以上を占めています。
「畑の肉」と呼ばれる大豆、アミノ酸スコア“100”のたんぱく質がぎっしり
大豆に含まれるたんぱく質は、質も優れています。「アミノ酸スコア」は100に近いほど栄養面で優れているわけですが、大豆たんぱくのアミノ酸スコアは100。
植物性たんぱく質は、動物性たんぱく質よりも栄養価が低い傾向にありますが、大豆は肉・魚・牛乳に含まれるたんぱく質と同じように、必須アミノ酸をバランス良く含んでいます。
食物繊維、ミネラル、ビタミンも
大豆の約2割は脂質で、食用油の原料となります。また、食物繊維を豊富に含むことも特長の1つ。100gあたりの食物繊維の含有量は21.5g。そのほとんどが、水に溶けない不溶性食物繊維です。
このほか、カリウム・カルシウム・マグネシウム・鉄などのミネラル類、ビタミンK・ビタミンE・葉酸などのビタミン類も含んでいます。
大豆イソフラボンが中高年女性の健康をサポート
大豆には特有の成分もあります。大豆イソフラボン、大豆レシチン、大豆サポニンがその代表です。
大豆イソフラボンは、女性ホルモンの「エストロゲン」とそっくりの働きがあります。女性は加齢に伴ってエストロゲンが減少していき、骨が脆くなったり、さまざまな体調不良が生じたりします。大豆イソフラボンは、そうした中高年女性の健康上の不安をサポートします。
大豆レシチンには、コレステロール量をコントロールする働きがあると報告されています。また、大豆サポニンは強い抗酸化作用を持ちます。
上質な植物性たんぱく質を食卓に
古くから日本人にとって大豆は身近な存在でした。近年、世界中で「たんぱく質クライシス」が叫ばれる中、上質な植物性たんぱく源として、大豆の存在感はますます大きくなっています。
また、消費者の健康志向を背景に豆乳がブームになるなど、大豆の栄養価の高さが脚光を浴びています。健康を維持するために、日々の食生活に大豆製品を適度に取り入れてみましょう。