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大切な資源としての「水」について知っておくべきこと

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YOKARE編集部
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大切な資源としての「水」について知っておくべきこと

「水」―― それは人間を含めた生物が生きていく上で欠かすことのできない大切な資源。今、私たちは毎日豊富な水を使って生活できていますが、そう遠くない未来、自分たちが生きている間に安心して使える水資源が足りなくなってしまう危機が迫っているかもしれません。

大切な資源としての「水」について知っておくべきこと

01.当たり前に水を使える人は限られている

水道水を安心して使うことができる人口は世界でどれくらいだと思いますか?

水道水

世界人口77億人(2019年時点)のおよそ10%にあたる7億8,500万人は、今も基本的な水道サービスを受けることができていません(2017年時点)。

また世界人口の5人に2人は、自宅に石鹸と水を備えた基本的な洗面設備を持っていないというのが現状です(2017年時点)。

02.地球上の使える水は意外と少ない?

「水の惑星」とも呼ばれる地球は、表面の3分の2、およそ14億立方キロメートルの水があると言われています。ただし地球上の水の約97.5%は塩分を含む海水で、淡水はわずか2.5%ほど。しかも、その淡水の多くは氷雪や氷河なので、河川や地下水などの淡水は地球全体の水の約0.8%。

地球

さらにこの多くは地中に深く浸透している地下水であるため、人が使いやすい状態の河川や湖水の水に限ると約0.01%(約10万立方キロメートル)しかありません。この貴重な水資源が汚染され続けた場合、安心して使える水の量が足りなくなってしまうかもしれないのです。

03.2050年には世界の水需要が20~30%増加

水は限られていが、世界人口は2050年までの今後30年間で20億人増加して、97億人に達すると見込まれています。人口増加はつまり水需要の増加を意味します。

地球上の人々の生活が豊かで快適になるにつれ求められる水の量は増える一方で、気候変動が引き起こす洪水や干ばつが水資源に与える影響、経済発展を背景にした水使用量の変化などによって、2050年の世界全体における水需要は現在よりも20~30%増加すると予測されています。

04.日本でも水ストレスを抱えている

水の需要に対応できているかを示す指標に「水ストレス」があり、この程度を計る際には「人口一人当たりの最大利用可能水資源量」が用いられます。

最低ラインは一人当たり年間1,700㎥の水資源量があることとされていて、それを下回る状態を「水ストレス」、さらに年間1,000㎥以下で「水不足」、500㎥以下は「絶対的な水不足」の状態とされています。高いレベルの水ストレスを経験している国には20億人以上が住んでいて、深刻な状況です。
意外に思われるかもしれませんが、実は国連のデータブックには日本も水ストレスを抱える国として掲載されています。日本は雨量が多く水が豊かな国ですが、雪解け期・梅雨・台風期など季節によって雨量の変化が激しいため、年間を通じて安定した水量を確保するためにはダムや河川の開発整備が不可欠です。さらに雨量が少ない年は「渇水」が起こり、取水制限がなされることもあります。水道水の断水や減圧給水の対策が取られた場合、食事の用意に困ったり、水洗トイレが使えなくなったりするなど日常生活を送るだけでストレスを抱えることに。農業用水の不足は農作物の不作に直結し、経済活動への影響も甚大です。

05.水の争奪戦が起きている

日本は隣国と国土が接していない島国なので問題意識が及びにくいテーマですが、陸続きの世界では水所有権の争いや、河川上流での水過剰摂取による問題、上流地域からの汚染物質排出による水質汚染問題などを理由に各地で「水紛争」が起きています。水資源の取り合いは他人事だと考えがちですが、実は日本に住む私たちにもこの問題はつながっています。

06.目に見えない水の大量消費者が存在する

水が必要な場面をイメージすると、料理、洗濯、掃除、入浴など生活用水を使うシーンが思い浮かびますが、そのような生活用水は水の利用用途のごく一部。水資源の多くは生活用水以外の工業用水や農業用水として使用されています。自分たちの目に見えないところでも水は使用されていて、その水のおかげで日々の暮らしが成り立っています。

農産物や家畜を育てるための農業用水、モノを製造・加工する時に必要な工業用水には大量の水が必要です。そして私たちが手にする製品やその原材料の多くは日本以外の国で生産され、その国や地域の貴重な水資源が使われていることを忘れてはなりません。日本国内だけで日本人に必要なすべての工業・農業生産を賄おうとしたら、とてつもない量の水資源が必要となります。もし世界のどこかの地域の水環境が変化してしまったら、ある日突然今の私たちが享受している快適な暮らしは続かなくなってしまうかもしれないのです。「目に見えない水」を消費していることを心において生活すると、手にする製品や食料が世界とつながっていることに気づくでしょう。

未来の水のために、私たちが今できること

国連が採択したSDGs(持続可能な開発のための17のゴール)では「2030年までに地球上すべての人が安全な水や下水、衛生施設へのアクセスを可能にすること」を目標のひとつに掲げています。そのために私たちはいったいどんなことができるのでしょうか。

水を大切に使う。

地球上の使える水資源は限られていることがおわかりになったと思います。水を大切に使うための行動を今一度見直してみましょう。洗い物やシャワーの水を出しっぱなしにしない、食器汚れが落ちやすいようにため水につけておくなど、少しの意識で今日からできることがたくさんあります。シャワーは3分間で36リットルもの水を使うということを、覚えておきましょう。

水の再活用を考える。

家庭でできる水の再活用のアイデアを考えてみましょう。風呂水や雨水を洗車やベランダ掃除に使う、野菜や米を洗った水を樹木の水やりに使うなど、一工夫すると水を再活用することができます。再活用のために水を一旦貯める習慣にすれば、災害時の水確保としても役立ち、安心にもつながります。

水に流すものを減らす。

水は循環するものなので、生活排水をできるだけ汚さないための心がけをしましょう。油汚れの付いた食器は紙で油分を拭き取ってから洗う。調理くずや食べ残しなどの生ごみは排水溝に流さない。使用後の油を流さないように努める、洗濯時は糸くずを取るフィルターを使用するなど、ひと手間かけることで生活排水への配慮ができます。

家電製品や住宅設備は節水商品を選ぶ。

洗濯機やトイレなどの家電製品や住宅設備を購入・買い替え・リフォームするときは、節水機能付き商品を選ぶようにしましょう。

企業の水資源に関する取り組みを知る

私たちが生活の中で直接できることには限りがありますが、意識的に「商品を購入する」という行動を通じて社会に働きかけすることもできます。毎日使っている洗剤、シャンプー、食品、飲料などを生産・販売している企業のウェブサイトを見てみましょう。水資源を大量に使用する企業が、水を大切にした経営を行っているのか、どこでどのように製品がつくられているのか、原材料はどこから調達しその方法は適切なのかなどを知ることができます。もしそのような情報を公開していない場合は、社会や環境に対する意識が低いか、公開できない理由が企業側にあるのかもしれません。自分たちが使う商品がどんなプロセスを経て造られているのかまで知ることができるようになったのは、インターネットが発達しだれでも情報にアクセスしやすくなった賜物。この機会と情報をどう活かし、どのような未来につなげるかは自分次第です。

今の時代は、安いという理由だけで大量生産された商品を受け身の姿勢で買うのではなく、私たち消費者が未来のことや目に見えない場所にいる人たちの幸せを想像して商品を選ぶ時代になってきていると思います。未来の水のために、未来の社会のために今私たちができることを見つけて、SDGsのゴールに近づきましょう。

参考
World Water Development Report 2019
国連広報センター「WATER ACTION DECADE 2008 – 2028」
国連広報センター「SDGs報告2019」
持続可能な開発に関するグローバル・レポート
UNITED NATIONS SDGS KNOWLEDGE PLATFORM - SDG6
国連世界人口推計2019年版データブックレット
国土交通省「国際的な水資源問題への対応」
環境省
日本水フォーラム
CDPウォーターレポート2017

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