醤油には5種類ある?醤油の種類ごとに特徴を解説
調味料の定番である「醤油」。あまり料理をされない方でもご家庭に1本はお持ちなのではないでしょうか?
実は醤油には原材料や醸造方法、等級などの分け方があります。
この記事では5つの醤油の種類や特徴、醸造方法や等級についても解説します。
醤油の種類
農林水産省のJAS法で定められている醤油には5種類あります。醤油の種類の分け方は、旨み成分の指標である窒素分、色の濃さ、塩分濃度などで規定されています。
濃口醤油
- 原材料:大豆と小麦をほぼ同量
- 醸造期間:2年〜3年
- 塩分:16〜17パーセントほど
- 旨み(窒素分):1.5〜1.6パーセントほど
- 使われている地域:全国
全国で流通する醤油の8割以上は濃口醤油で、一般的な醤油を指します。深い旨みとまろやかな甘みを併せ持ち、使いやすく、どんな料理にも合わせやすいのが特徴です。
淡口醤油
- 原材料:大豆と小麦をほぼ同量
- 醸造期間: 1年〜2年
- 塩分:18〜19パーセントほど
- 旨み(窒素分):1.15〜1.2パーセントほど
- 使われている地域:関西、西日本
濃口醤油より色が薄いが、塩分濃度は高いのが淡口醤油の特徴です。兵庫県で生まれ、京都の精進料理や懐石料理など色を美しく仕上げるため確立されてきました。熟成が進むほど色が濃くなってしまうため、醸造期間も濃口醤油より短めです。
たまり醤油
- 原材料:大豆のみ
- 醸造期間: 2年〜3年
- 塩分:16〜17パーセントほど
- 旨み(窒素分):1.6〜3.0パーセントほど
- 使われている地域:主に中部地方
豆味噌から滲み出た液体が前身と言われるたまり醤油。小麦は使用せず、大豆と塩のみで作られます。大豆は小麦よりアミノ酸が多く含まれるため、非常に旨味が強く、色は濃いのが特徴です。近年の小麦を除いた食事法「グルテンフリー」にも合致するため、海外への輸出も増えています。
再仕込み醤油
- 原材料:大豆と小麦をほぼ同量
- 醸造期間: 3年〜4年
- 塩分:12〜14パーセントほど
- 旨み(窒素分):1.6〜2.5パーセントほど
- 使われている地域:全国(流通量は少ない)
通常、濃口醤油は大豆と小麦に塩水を加えますが、塩水の代わりに醤油を加えるという贅沢な製法で作られます。そのため濃厚な旨味とコクが特徴です。塩分は低く仕上がるので、まろやかな口当たりです。
白醤油
- 原材料:小麦を主に、大豆はごく少量
- 醸造期間: 3か月ほど
- 塩分:17〜18パーセントほど
- 旨み(窒素分):0.4〜0.6パーセントほど
- 使われている地域:全国(料亭など)
白醤油は小麦を主材料とし大豆を5パーセントほどと少量にとどめ、醸造期間も短いのが特徴です。名前の通り、透き通った淡い琥珀色のため、料理の彩りを生かすことができます。色は薄いですが、塩分濃度は高く、入れすぎに注意が必要です。
また、白醤油にだしを加えた「白だし」の方が多く流通されています。
醤油の醸造方法
醤油には大きく分けて「本醸造」、「混合醸造」、「混合」の3つの醸造方法があります。ポイントはアミノ酸液を加えるかどうかと加えるタイミングによります。
- 本醸造
本醸造という醸造方法は、江戸時代から続いている伝統的でシンプルな方法です。大豆と小麦に種麹をつけて塩水とともに仕込み、じっくりと旨味、甘味を引き出します。原材料には大豆、小麦、食塩とシンプルな原材料が表示されることが多いです。 - 混合醸造
混合醸造では大豆、小麦、塩水で作られるもろみにアミノ酸液を添加してさらに醸造し、なじませる方法です。アミノ酸液とは、大豆などの穀物を塩酸で分解する旨味の強い液体です。甘味を加えるためにブドウ糖やステビア、甘草などの甘味料を加えることも多いです。 - 混合
混合醸造ではもろみにアミノ酸を加えていましたが、混合という方法では、もろみを絞った醤油にしてからアミノ酸液を添加しています。醸造はせず、醤油とアミノ酸液を混ぜているため混合と覚えると良いでしょう。
5種類以外の醤油「甘口醤油」
九州地方などでは甘味の強い醤油が好まれる傾向にあります。甘口醤油にはブドウ糖や砂糖などの糖類、ステビアや甘草、サッカリンなどの甘味料が加えられています。本醸造の醤油に加えられることもありますが、混合や混合醸造の醤油に加えられることの方が多いです。
ステビアはキク科の植物から作られる甘味料で、グラムあたり砂糖の約200倍の甘みがあります。
甘草はマメ科の植物で、根を乾燥させたもので古くから消炎作用を持つ漢方などにも使用されています。グラムあたり砂糖の約150倍の甘みを持っています。
サッカリンは人工甘味料の一つで、砂糖の約500倍の甘みを持つとされています。
醤油の等級
醤油には「特級」、「上級」、「標準」の3等級があり、「特級」の中にも「特選」、「超特選」という品質基準があります。
3つの等級は旨味成分(窒素分)が高いものから順に「特級」、「上級」、「標準」と表記することができ、5種類の醤油でそれぞれに基準が定められています。
また、「特選」、「超特選」は「特級」の中で濃口醤油、たまり醤油、再仕込み醤油は窒素分、淡口醤油、白醤油はエキス分で基準が定められています。
ぜひ、醤油を購入するの参考にしてみてください。