柚子(ゆず)
強い酸味と香りが特長の柚子(ゆず)は、古くから日本人にとって身近な柑橘類として親しまれてきました。料理の風味付けに欠かせず、柚子のポン酢やドレッシングも人気があります。柚子には健康に良い栄養成分がたっぷり含まれ、肌の健康や冷えが気になる方をサポートしてくれます。
「青柚子」と「黄柚子」
柚子はミカン属の常緑小高木で、柑橘類の1種。4メートルほどの高さに成長し、大きなトゲが出てきます。初夏に白くて小さな花を咲かせ、鑑賞用としても人気があります。
最大の特長は、柑橘類のなかでも特に強い酸味と香り。柚子は香酸柑橘類に分類され、レモン・ライム・スダチもその仲間です。
柚子は1年を通して流通していますが、初夏から秋にかけて出回るのが「青柚子」。果皮は緑色で、一見したところライムと似ています。さわやかな風味があり、暑い夏場にぴったりです。
秋の終わりごろから収穫されるのが「黄柚子」。一般的に私たちがイメージする柚子です。強い香りを持ち、「青柚子」よりも果汁がたっぷりで、さまざまな料理に使用されます。また、寒い日にお風呂に入れることもあります。
品種は「本柚子」「花柚」「種なし柚子」に大別
柚子の品種を大きく分けると、「本柚子」「花柚(はなゆ)」「種なし柚子」の3種類があります。
私たちが日ごろ料理に使用しているのが「本柚子」。果実は100g程度の重量。飲料やジャム・マーマレード、ポン酢、ドレッシングなど加工食品の原材料としても用いられます。
「花柚」は柚子と似ていますが、異なる品種です。果実は「本柚子」よりも小さく、主に料理の風味づけに使用されます。
「種なし柚子」は文字通り種がない品種。「本柚子」よりも小ぶりで、香りはやや弱く、こちらも料理やデザートなどに使用されます。
日本の主産地は高知県
柚子の原産地は中国の長江の上流域。中国から日本に伝わり、国内では奈良時代に栽培が始まったと伝えられています。
現在は日本・中国・韓国をはじめ、オーストラリア・スペイン・フランス・イタリアなどで栽培されています。
日本の主産地は四国地方です。都道府県別で見ると、高知県が全国シェアの約5割を占め、ダントツのトップ。これに徳島県や愛媛県が続きます。
四国以外では鹿児島県・宮崎県・大分県などの九州地域、和歌山県や島根県でも栽培されています。国産柚子の出荷量は年間で2万トン前後に上ります。
国産柚子は主に内陸の山間部で栽培されています。昼夜の寒暖差が大きいため、海外産と比べて香りの強い実を結ぶといわれています。
柚子の栄養的な特徴
ビタミンC、カリウム、ペクチン…
柚子に含まれる栄養成分で、真っ先に思い浮かぶのがビタミンC。果汁100gあたりに40mg含みます。
ミネラル類はカリウムが豊富で、100gあたりに210mgを含有。また、ペクチンをはじめとする食物繊維も含んでいます。
そのほか、クエン酸、リンゴ酸、ヘスペリジン、β-クリプトキサンチン、リモネンなどもあります。
柚子の効能・効果
肌の健康や冷えが気になる方に
柚子の代表的な栄養成分はビタミンC。栄養機能食品制度では「ビタミンCは、皮膚や粘膜の健康維持を助けるとともに、抗酸化作用を持つ栄養素です」の表示が定められています。
柚子の果実と果皮にはビタミンCがたくさん含まれていて、肌の健康を守る働きが期待されます。
また、柚子には体を温める作用があることから、特に冬場に重宝されてきました。これは、柚子に含まれるヘスペリジンという成分の働きによるものと考えられています。
ヘスペリジンを酵素処理して糖を1個加えた「モノグルコシルヘスペリジン」という成分があります。この成分を配合した機能性表示食品や特定保健用食品(トクホ)が登場しています。
機能性表示食品では、「モノグルコシルヘスペリジンには冬期や冷房など気温が低い時に血流(末梢血流)を維持して、体温(末梢体温)を保つ機能が報告されている」などと表示しています。
一方、トクホについては「中性脂肪が高めの方に」、または「血圧が気になる方に」と表示した商品が販売されています。
「冬至」にお風呂に入れる習慣も
日本では「冬至」の日に、お風呂に柚子を入れる習慣があります。これは江戸時代に始まりました。柚子の強い香りが邪気を払うと信じられていたからだといわれています。
邪気を払うかどうかは不明ですが、お風呂に柚子を入れると、その強い香りの影響でリラックス効果が生まれます。加えて、血行促進や肌の保湿効果もあるといわれています。
寒い日には、ぜひ柚子をお風呂に入れて温まってください。
寒い季節には柚子関連商品を活用
柚子は料理の風味をグレードアップさせるだけでなく、あなたの健康を維持・増進してくれます。
柚子を使用した飲料・ジャム・マーマレード、健康食品やサプリメントなども含め、生活のシーンや目的に合わせて上手に活用してみましょう。