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オランダ企業が開発の家庭内水リサイクルシステム「Hydraloop」、CES2020イノベーションアワード受賞

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YOKARE編集部
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オランダ企業が開発の家庭内水リサイクルシステム「Hydraloop」、CES2020イノベーションアワード受賞

家庭内で使用した水をリサイクルできる製品が登場しました。2020年1月にアメリカのラスベガスで開催された世界最大級のテクノロジー機器展示会CES 2020で、オランダのHydraloop社が家庭内の排水をリサイクルする製品システムでベスト・オブ・イノベーションを受賞しました。今回の受賞は、持続可能性、エコデザイン、スマートエネルギーの3つのカテゴリーです。CESは次世代の革新的なテクノロジー技術製品が登場する展示会で、毎年世界中の産業界から注目を集めています。

家庭内排水の85%をリサイクル

Hydraloopの製品は家庭内排水の85%を再利用できる状態に浄化します。シャワー、風呂水、洗濯機などの水から汚れを取り除いて殺菌消毒し、水洗トイレ、洗濯機、庭の散水、プールの水として再利用ができます。


既存の浄水システムはフィルターや膜処理で濾過を行いますが、その場合は目詰まりが起きてしまうため定期的な清掃や交換が必要です。HydraloopはUV消毒など6つの技術を組み合わせることで、フィルターや化学薬品を使わずに、水の汚れやごみ、石鹸の残滓などを取り除き、安全で清潔、透明な水の状態にすることを実現しました。

最新テクノロジーは環境にやさしい

Hydraloopを家庭で使用した場合、

  • 水道水の消費45%削減
  • 下水排水量45%削減
  • 二酸化炭素排出6%削減
  • エネルギー消費量600kw削減(冬気候下、4人家族での使用を想定)

が可能になります。

シンプルなメンテナンス、アプリで管理

さらにHydraloopは全自動運転、セルフクリーニング機能が搭載されていて、必要最低限のメンテナンスで使用・維持することができます。また24時間モニターシステムが作動し、異常を検知した場合は自動的にトイレの水などがリサイクル水から水道水への使用に切り替わり、ユーザーにアラームで知らせます。スマートフォンアプリでは日・週・月ごとの節水量を管理したり、リサイクル水の利用に優先順位をつけたりすることも可能。
Hydraloopタンクの設置とテスト運転にかかる時間は1時間半ほどで、洗濯機の設置と同等の作業と、インターネット接続およびユニットのスイッチが入るかのチェックをするだけで使い始めることができます。

商業ビルや宿泊施設にも設置可能

家庭用Hydraloopのタンク容量は300リットル、1日あたりの最大処理能力は530リットルで、5人家族で使用可能な水量を想定しています。また家庭用の他にホテル用、商業ビル用のHydraloopシステムも用意されているため、大規模施設内でのリサイクル水活用も可能となります。ビル用のシステムは手洗い洗面やシャワーの他、スポーツジムなどの水もリサイクルされ、トイレ洗浄、洗濯、庭の灌漑などに再利用できます。ビルごとに異なる必要容量を構築する際は、ユニットを相互接続することでオーダーメイドに対応し、最大6000リットルの処理能力まで提供できるといいます。

第三者の評価を受けた信頼できる水品質

Hydraloopの再利用水の水質は、ドイツの廃水処理製品の国際認証機関であるPIAでテストされ認証されています。さらにKIWAによる安全認証の付与、スイスの品質ラベル「Efficient Solution」を受賞しているほか、ISO認定スマート工場で生産されているなど、第三者のお墨付きを得た安心の品質です。

デザインも重視、生活への取り入れやすさを実現

このような製品はどんなに環境に良くても、実際に消費者や市場に取り入れてもらわなければその効果は広まっていきません。Hydraloopは家庭でも違和感や圧迫感のないシンプルでスタイリッシュな佇まい。洗濯機や冷蔵庫などの家電製品を配置する感覚で生活に取り入れられるよう、住まいに馴染むデザインに設計されています。

2020年後半から米国販売開始

本製品はすでにオランダをはじめヨーロッパ、中東、アフリカなどに納品されていて、2020年後半からはアメリカでも展開を開始、価格は4,000ドル~を予定しています(配送・設置費用別途)。

Hydraloop社は、水の使用量を大幅に削減する水リサイクルシステムを製造するため、10年間にわたり研究開発を続けた結果、低価格で、使いやすく、メンテナンスの手間がかからない画期的かつ実用的な製品を生みだしました。特に水資源が豊富ではない地域や乾燥地帯では、Hydraloopシステムが安定した水供給に貢献することが期待されています。また水をリサイクルできる技術は災害時にも役立つと考えられます。
世界の水と衛生の課題を解決することは、SDGs(2030年までの持続可能な開発目標)でも掲げられています。世界人口が増え続ける一方で、人間が使える地球上の淡水量には限りがある現状の中、水のリサイクル技術は希望の光のような明るい話題です。
世界では他にも海水を淡水化する研究や、下水を飲用水に利用する技術開発なども進んでいます。すべての人が水や衛生環境に困ることなく、安心した生活が送れる未来の実現に向けて、テクノロジーとアイデアを組み合わせた新たな価値が次々と生まれる今。これからリサイクル水の利用がどこまで社会に浸透するのか、どんなイノベーションが出てくるのか、目が離せません。
 

参考資料
Hydraloop社

CES 2020イノベーションアワード製品|Consumer Technology Association

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