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日本の花業界を悩ませる「花の価値」問題に挑むRIN、「花のロスを減らし花のある生活を文化にする」ために

SDGs
YOKARE編集部
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日本の花業界を悩ませる「花の価値」問題に挑むRIN、「花のロスを減らし花のある生活を文化にする」ために

生花店など、町で売られている花に、「規格」が存在することをご存知でしょうか。

花には、品目や地域ごとに「規格」と呼ばれる一定の基準が存在しています。
花一輪の大きさ、茎の長さ、色など、さまざまな項目で基準が定められていて、この規格からちょっとでも外れると、花の品質や外観に問題がなくても「規格外」と判定されてしまいます。そうなると、市場に出荷できず廃棄処分となるものが少なくありません。

こうした規格外の花の廃棄などの「ロスフラワー🄬」の問題は、SDGs(持続可能な開発目標)の見地からも、近年話題にのぼることが多くなっていますね。

「廃棄される花だからタダ」ではない

花のロスを減らし花のある生活を文化にする」という企業理念を持つ株式会社RINは、ロスフラワーを用いて、イベント装飾や企業のブランディング事業などを行い、廃棄される花の削減問題に取り組んできました。

しかし、メディア等でその活動が取り上げられる機会が増えると同時に、悩ましい問題も。
RIN代表の河島春佳さんから、こんな話を聞きました。

「現在、さまざまな企業でSDGsの取り組みが行われる中、ロスフラワー🄬を使用するオファーが増えましたが、『廃棄される予定の花だから、タダか格安で仕入れられるはず』という認識で話して来る方がいらっしゃるのが、とても悩ましいです」

廃棄される予定とはいっても、RINで使用する花は、そのほとんどお花は農家さんから買い取っているもの。使用するために手を加える必要もあります。普通に流通している花と比較してコスト高になる場合も。

RIN代表の河島春佳さん

RIN代表 河島春佳さん

なぜRINがロスフラワー🄬を使用しているのかという想いを理解していただくことができれば齟齬がないのですが、「ロスフラワー🄬=価格が安い」というこイメージが先行してしまっていることもあるようです。

ロスフラワー🄬にも価値があることを知ってほしい

それではなぜ、わざわざコストや手間をかけて、ロスフラワー🄬を使用した事業を行っているのでしょうか。

その理由としては、「廃棄される花を減らす」ことだけではなく、花の生産環境の改善や生産者の所得向上にもつなげないと意味がない、と考えているからです。

2017年頃、生花店で働いていた時に、廃棄される花の多さにショックを受けて今の事業を立ち上げた河島さん。大切に育てた花が大量に廃棄されることに苦しむ農家さんの姿を、数多く見てきました。
コロナ禍による市場縮小や、栽培農家数の減少は今も続いています。

RINは「花のロスを減らし花のある生活を文化にする」という理念を掲げています。
河島さんは、「花のロスを減らす」のと同時に、年々需要が減り続けている日本の花業界全体が元気にならないと、「花のある生活を文化に」という目標に近づくことができないと言います。

RINでは、「花のある生活を文化に」を実現するため、2020年よりFlower cycle marche(フラワーサイクルマルシェ)という、花農家と消費者の架け橋としてオンラインショップを開設。

Flower cycle marche
ここで販売している商品を購入することで、花の廃棄問題に対し間接的に支援できる仕組みになっています。

さらに「『廃棄予定のロスフラワー🄬であったとしても、花は花であり、価値があるもの』という理念に共感してもらえるように伝えていかないといけない」と河島さんは考えています。

ロスフラワー🄬を減らし「花のある生活を文化にする」活動を、SNSを中心に発信しています。

※花とアップサイクルを掛け合わせた造語。リサイクルではなく、アップサイクルとして、捨てられる花に付加価値をつけて新たな命を吹き込む人という意味

日本の花の規格は海外より厳しい?

こうしたロスフラワー問題解消の壁となる要因の一つが、先に紹介した、「日本の花の規格の厳しさ」です。

世界では花の許容範囲が広く、各国の規格には数段階の等級が多く見られます。
しかし、日本にあるのは「規格内か、規格外か」という選別だけ。
日本は物づくりが得意であるゆえに消費者の見る目が厳しいとも言われます。
また、価格が安い輸入花に対抗し、品質の高さで世界的に評価されている「国産の花のブランドを守る」という目的もあり、厳しい規格になっている部分もあるでしょう。

しかし、厳しい規格が大量の花の廃棄につながっているとすれば、この規格が今の日本の実態に合っていないとも考えられます

農林水産省も、2020年3月からの「花いっぱいプロジェクト」をはじめ、ロスフラワー活用の取り組みを進めていますが、今後は従来の規格の見直しも必要なのかもしれません。


 

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