実は米ぬか不足?米ぬかの活用方法
米ぬかの原料は、お米の命といわれる胚芽とそれを守る種皮と果皮。米ぬかは、ビタミン・ミネラル・食物繊維、良質な脂肪酸を含む貴重な食糧源です。
SDGsの観点からも注目され、廃棄される米ぬかを活用しようとしたプロダクトも多くなっています。
この記事では、米ぬかの栄養素、米ぬかの活用方法、米ぬかの現状を紹介します。
米ぬかとは何か?
米ぬかは玄米精白に際して、精白度に応じて増減はありますが、通常は8%程度発生します。米ぬかは、お米の命といわれる胚芽とそれを守る種皮と果皮からつくられます。
米ぬかとなる部分には、捨てるにはもったい栄養が含まれています。
胚芽には、芽を伸ばすために必要なビタミンB1やビタミンE、食物繊維、GABAなどの栄養素が豊富に含まれています。
ぬか層は、油分や栄養価が高く、ビタミン・ミネラル・食物繊維の他に良質な脂肪酸を含んでいます。
お米のビタミン・ミネラルの95%が、米ぬか+胚芽に含まれていると言われています。
米ぬかは何に活用されているの?
米ぬかは油分15~21%で、国産植物油脂原料としてもっとも重要なものです。そのほか、肥料、漬物用、きのこ培養などの用途に加え、石けんや洗剤にも米ぬかを使ったものがあります。
こめ油の供給量は2022年の国内生産量は68,273トン、輸入量は40,913トン。徐々に国産米ぬかの発生量が減少し、輸入を増やしている現状です。
この背景には、お米の消費減少に伴った「お米の生産量の減少」があります。お米の精米過程で作られる米ぬかもお米の生産量に影響されます。国民一人当たりの年間米消費量は1962年の118.3キロをピークに減少傾向にあり、2022年は50.8キロまで落ち込んでいます。
このため、使いやすさと健康面から人気となった「こめ油」は、需要があるのに国産のこめ油が供給できないという悩みを抱えています。
2022年の米の生産量は670万トン。8%程度が米ぬかとなるので、米ぬか発生量は50万トンほど。そのうち、2022年は約35万トンの米ぬかを使われているが[※1]、米油業界によると米ぬかは不足しています。
米ぬかは肥料、飼料としても利用され、さらに漬物用、きのこ培養、石けんや洗剤にも活用され、米ぬかの争奪戦な状態になっているそうです。
米ぬかの活用方法
米ぬかは私たちの身の回りで、どのように活用されているのでしょうか。また米ぬかを使ったものは近年とても人気となっています。なぜ、米ぬかが注目されているのでしょうか。
こめ油
こめ油の原料は、お米の胚芽とそれを守る種皮と果皮で、玄米精米する過程で、ぬか層と胚芽が取り除かれます。このぬか層と胚芽の15~21%は油分で、この油分はさらに精製を経て、原油の65%がこめ油となります。
こめ油は味にクセがないため、素材の持ち味を活かした使い方ができるのも利点。さらに植物油でビタミンEが含まれていて、必須脂肪酸の供給源となる「こめ油」は栄養面でも人気です。
漬物
米ぬかに乳酸菌を加えて発酵させて「ぬか床」を作り、野菜を漬け込んで作った漬物を「ぬか漬け」といます。発酵によって、乳酸菌が含まれるぬか漬けの栄養価は高くなります。米ぬかに含まれている栄養素も合わせて取ることができます。
発酵浴
米ぬか発酵浴の独特の臭いです。米ぬか発酵浴では、血液循環がよくなり、全身に血が回り、スポーツをしているのに近い状態となります。15分でランニング約15㎞分の発汗量とも言われています。
米ぬかのミネラルやビタミンも経皮吸収できるため、お肌もツルツルになります。
化粧品
米ぬかから抽出したエキスは、植物由来で保湿やバリア機能に期待がされています。
米ぬかの原料「米」の存在
白米の一人当たりの消費量は1962年と比べると半分以下になっています。米ぬかの活用に関しては、栄養面やSDGsの観点からもニーズが拡大していくことが予想されます。
一方で日本のコメ離れは深刻な社会問題でもあります。コメ離れの原因は、核家族や共働き世帯の増加、少子化、主食の変化などが挙げられます。コメ離れは日本の文化が衰退している警告でもあり、経済面や健康面だけではなく、どのように文化を守り、心の豊かさを取り戻すかも大切な課題ではないでしょうか。
参考
[※1] こめ油関係データ|日本こめ油工業協同組合