「肌」サポートの機能性表示食品、その科学的根拠とは?
「肌の潤いを守る」とうたった機能性表示食品が人気です。機能性表示食品として販売するためには、表示内容を裏づける試験データを国へ届け出ることが求められます。肌の健康に役立つという機能性の科学的根拠について解説します。
届出件数は460件超に
「肌」をサポートする機能性表示食品の届出は、2022年1月24日現在で460件超に上ります。
主な配合成分はヒアルロン酸ナトリウム、グルコシルセラミド、アスタキサンチン、プロテオグリカン、コラーゲンペプチド、乳酸菌、GABAなど。
また、特定の成分ではなく、「秋ウコンエキス」「月桃葉抽出物」といったエキスを機能性関与成分として配合した製品も登場しています。
6割がサプリメント、生鮮も登場
「肌」をサポートする機能性表示食品の6割はサプリメント形状の製品。それ以外では、飲料やゼリーをはじめ、スープ・ヨーグルト・チョコレートなどがあります。
生鮮食品も10件公表済み(2022年1月24日現在)。ブロッコリーの種子、パイナップル、トマト、パプリカなどです。
「肌の乾燥が気になる方」などと表示
各製品のパッケージには、次のような表示が見られます。
・肌の水分保持に役立ち、乾燥を緩和。
・肌の乾燥が気になる方に。
・紫外線の刺激から肌を保護することを助ける。
ざっくりと言えば、(1)肌の潤いを守る、(2)紫外線の刺激から肌を保護――に大別できます。圧倒的に多いのが「肌の潤いを守る」旨の表示です。
機能性の科学的根拠とは?
経皮水分蒸発量の低下
では、これらの表示を裏づける科学的根拠とは、どのようなものでしょうか。まず、「肌の潤いを守る」旨をうたった製品について見ていきましょう。事例として、パイナップル由来グルコシルセラミドを配合した製品のヒト試験を取り上げます。
試験の参加者(被験者)は健康な20~60歳未満の日本人で、肌が乾燥してくすんだ状態の人。試験のデザインは「ランダム化二重盲検比較試験」。これは、被験者を2つのグループに分けて、一方のグループにパイナップル由来グルコシルセラミド(1.2mg)を摂取してもらい、もう一方のグループにはプラセボ(偽の食品)を摂取してもらって、効果を比べるという方法です。
試験では12週間にわたって毎日摂取してもらい、肌の経皮水分蒸発量を調べています。その結果、パイナップル由来グルコシルセラミドのグループは、プラセボのグループと比べて、肌の経皮水分蒸発量の低下が確認されました。つまり、肌の水分を逃がしにくくする効果が認められたわけですね。
そうした効果は、パイナップル由来グルコシルセラミドの作用によって、皮膚のセラミド合成などが促進され、皮膚の構造が整えられたことによるものと考察されています。
涙液量・唾液量・角層水分量の増加
もう1例、見ましょう。ルイボス由来のエリオジクチオール-6-C-グルコシドを配合した製品の試験では、20~65歳未満の健康な人が対象。被験者の目・口・肌の乾燥に及ぼす影響を調べています。
エリオジクチオール-6-C-グルコシドを配合したルイボスエキスを摂取してもらい、主観的な評価と、涙液量・唾液量・角層水分量を測定しました。
その結果、同成分を1日あたり0.21mgまたは0.34mg摂取した場合、目・口・肌の乾燥が改善され、涙液量・唾液量・角層水分量のそれぞれが増加したと報告しています。
ルイボス由来のエリオジクチオール-6-C-グルコシドには、目・口・肌の腺分泌を調節する「ムスカリンM3受容体」の活性化を促す作用があると言われています。また、女性ではとくに目・口・肌の乾燥が気になり、加齢に伴って涙液量・唾液量・角層水分量が低下する傾向にあります。試験はこれらの点に着目した内容となっています。
紫外線照射による皮膚の紅斑を評価
次に、「紫外線の刺激から肌を保護する」旨の表示は、どのような試験によって確認されているのかを見ましょう。
試験では、1日あたりに3~4mgのアスタキサンチンを摂取してもらい、プラセボを摂取したグループと肌の状態を比較。その際、被験者に紫外線を照射し、皮膚の紅斑(皮膚の表面が紅色を帯び、炎症が起きていることを示す)の状態を評価しました。
試験の結果、アスタキサンチンを摂取したグループはプラセボのグループと比べて、紅斑が改善されていることが確認されたと報告しています。
スキンケアと合わせて“内外美容”にチャレンジ
「肌」の乾燥が気になる方にとって、機能性表示食品は心強い味方となるでしょう。サプリメント・飲料・ゼリーなど多様な製品が販売されているので、きっと好みの製品が見つかるはず。
毎日のスキンケアとともに、機能性表示食品を活用して“内外美容”にチャレンジしてくださいね。