2023.10.25

「お腹の脂肪を減らす機能」に期待！　甘草成分の機能性表示食品とは？

マメ科植物の「甘草」に含まれる成分を配合した機能性表示食品は、お腹の脂肪やウエスト周囲径を減らすことをサポートしてくれます。販売中の商品は4商品（2023年10月14日時点）とまだ多くありませんが、肥満気味の方に適した健康食品として、注目されています。甘草成分を配合した機能性表示食品について解説します。

甘草とは？

甘草は、マメ科カンゾウ属の多年生草本。涼しく、乾燥した気候に適していて、中国の東北部・北西部をはじめ、モンゴルなどに自生しています。日本国内でも、甘草栽培に取り組む動きが出ています。

liquorice　甘草

甘草の根はグリチルリチン酸という成分を含み、ショ糖の数十倍もの強い甘味を持ちます。この特性から、スナック・キャンディーといった菓子類や調味料をはじめとした多くの食品で利用されています。近年では、ダイエット食品や健康食品にも使用されるようになりました。

機能性表示食品としてサプリメント4商品が発売中

一方、甘草由来の成分を配合した機能性表示食品は、2023年10月14日現在で、4件（撤回した商品を除く）の届出があり、全商品が販売中です。4商品ともサプリメントで、肥満気味の方に向けた商品として注目されています。

商品パッケージには、「本品には甘草由来グラブリジンが含まれるので、日常的な身体活動における脂肪の代謝（脂肪の分解）や筋肉量の維持を助け、肥満気味の健康な方の腹部内臓脂肪を減らす機能、腹部皮下脂肪の増加を抑える機能、お腹の脂肪（腹部総脂肪）を減らす機能、ウエスト周囲径を減らす機能、全身の脂肪量の増加を抑える機能があります」などと表示されています。

このように語尾が「・・・機能があります」となっている商品は、実際に販売する商品を用いたヒト試験によって機能性を確認しています。

これに対し、語尾が「・・・機能があることが報告されています」となっている商品は、研究レビューという手法によって、配合成分（機能性関与成分）の機能性を評価したものです。研究レビューとは、関連する研究論文を収集し、総合的に評価する手法です。

「脂肪」への働きなど5種類の機能性

機能性の評価方法の違いと、それに伴う表現方法の違いはありますが、甘草由来の成分を配合した機能性表示食品については、今のところ、次の5つの機能性を訴求しています。

肥満気味の健康な方の腹部内臓脂肪を減らす機能
腹部皮下脂肪の増加を抑える機能
お腹の脂肪（腹部総脂肪）を減らす機能
ウエスト周囲径を減らす機能
全身の脂肪量の増加を抑える機能

機能性関与成分の甘草由来グラブリジンを配合

機能性関与成分は「甘草由来グラブリジン」。この成分は甘草の根から抽出されるポリフェノールの1種です。

これまでの研究により、甘草由来グラブリジンには、脂肪の合成を抑制する作用や、脂肪の分解を促進する作用機序（メカニズム）があると報告されています。このメカニズムに着目し、届出企業ではヒト試験などによって機能性を確認しています。

代表的なヒト試験の内容を見ると、被験者は肥満気味の成人（日本人）です。BMIが23～30未満の健康な男女200人を対象に、二重盲検ランダム化比較試験を実施。被験者の200人をランダムに2つのグループに分けて、一方のグループには甘草由来グラブリジンを配合したサプリメント、もう一方のグループには同成分を含まないプラセボ食品をそれぞれ12週間にわたって摂取してもらいました。

その結果、同成分を含むサプリメントを摂取したグループは、プラセボ食品を摂取したグループと比べ、腹部内臓脂肪、腹部総脂肪、ウエスト周囲径が有意に減少することを確認。さらに、腹部皮下脂肪や全身の脂肪量の増加を有意に抑えることが認められたと報告しています。