食後血糖値を抑えるセカンドミール効果とは?オススメの原料や食品を紹介
セカンドミール効果という言葉を聞いたことはありますか?日本では、なかなか聞きなれない言葉かもしれません。糖質制限や最初に野菜から食べるベジファーストなど、食事の摂り方として最近は様々なことが提唱されています。現代人の食生活への関心は高まる一方ですが、ここではまだあまり知られていないセカンドミール効果について紹介していきたいと思います。
セカンドミール効果とは?
セカンドミール効果とは、1982年にトロント大学のジェンキンス博士が発表した概念です。日本ではここ数年でようやく注目されるようになりましたが、30年以上も前に提唱されていたのです。ジェンキンス博士は、日本でも話題の血糖値上昇指数であるGI(グリセミック・インデックス)について提唱したことでも知られます。
このセカンドミール効果は、一日の中で一番初めに摂る食事(ファーストミール)が、次に摂る食事(セカンドミール)の食後の血糖値に与える効果のことです。
例えば、朝食でセカンドミール効果のある食べ物を摂取しておくと、昼食後の血糖値の上昇に影響を及ぼし、血糖値の上昇を緩やかにしてくれるというものです。また、セカンドミール効果のある原料や食品は、糖質の吸収を抑える効果があることもわかっています。
セカンドミール効果が期待できるオススメの原料や食品
セカンドミール効果は、一日の最初の食事で摂取した食材によってもたらされる効果であることはわかりました。それでは、セカンドミール効果が期待できる食品とはどのようなものなのでしょうか。ここからは、オススメの原料や食品についていくつか紹介していきたいと思います。
大麦
セカンドミール効果が期待できる原料として、一番にオススメしたいのが大麦です。大麦には水溶性食物繊維である大麦β-グルカンが非常に多く含まれています。この大麦β-グルカンが、その食事の糖の吸収を抑えるだけでなく、次の食事の後の血糖値の上昇を抑えることがわかっています。大麦のセカンドミール効果はどの食品よりも高く評価されており、非常にオススメの食材です。
大豆製品
次にオススメなのが大豆製品です。大豆には、レジスタントスターチが多く含まれています。レジスタントは「消化されない」、スターチは「でんぷん」を意味し、難消化性でんぷんとも言われます。このレジスタントスターチは小腸では吸収されず、大腸で腸内細菌によりゆっくりと代謝され、短鎖脂肪酸へとなっていくのです。この短鎖脂肪酸が腸内環境を整え、血糖値の上昇を抑えるばかりではなく、空腹感を抑える効果もあります。また、大豆に含まれるオリゴ糖にも血糖値の上昇を抑える効果があります。 大豆は豆腐、味噌、納豆、豆乳、きなこなど多くの食品の原料となっており、日常生活でも摂り入れやすい食材の一つです。大豆そのものを摂取するのが一番効果的ですが、まずは手軽に摂取しやすい納豆や豆乳などから始めてみると良いでしょう。
牛乳
牛乳もセカンドミール効果が期待できる食品です。牛乳に含まれるたんぱく質の一つであるホエイプロテインには、朝食に牛乳を摂取すると昼食後の血糖値の上昇を抑える効果があることがわかっています。また、このたんぱく質は炭水化物の吸収を遅らせる効果もあります。
ヨーグルト
ヨーグルトも牛乳と同じくホエイプロテインが豊富で、血糖値の上昇を抑える効果があります。ヨーグルトは朝食で食べる人も多いので、簡単に実践しやすい食品の一つですね。ヨーグルトに麦類の多めなシリアルを入れて食べると、より効果が高まります。
舞茸
舞茸に含まれる水溶性食物繊維のβ-グルカンやキノコキトサンには、血糖値の上昇を抑える効果があります。また、キノコキトサンには脂肪吸収を抑制する効果もあります。舞茸のセカンドミール効果を十分に発揮させるには、1日に60gを目安に洗わずに調理し、スープごと残さずいただきましょう。こうすることで、水に溶けやすい水溶性食物繊維も残さず摂取することができます。
血糖値の上昇はなぜ緩やかにする方が良いの?
セカンドミール効果とは、次の食事の食後の血糖値の上昇を抑える効果のことだということはわかりましたが、なぜ血糖値の上昇は緩やかである方が良いとされているのでしょうか?次は、血糖値が上昇するとどういうことが懸念されるのかについて、見ていきたいと思います。
血糖値を緩やかにした方がいい3つの理由
糖尿病などのリスクが高くなる
血糖値が高いと糖尿病のリスクが高くなります。さらに高血糖状態が長く続くと、血管がダメージを受け、高血圧や動脈硬化など様々な合併症へと繋がる恐れがあります。また、血糖値が上昇すると、インスリンが膵臓から分泌されます。インスリンは血糖値を下げる働きを持つホルモンで、正常なバランスを保つために分泌されるのです。しかし、血糖値の上昇が急激になってしまうと、インスリンが過剰に分泌されて正常なバランスが崩れてしまいます。
脂肪を溜め込みやすくなる
また、血糖値の上昇は脂肪を溜め込みやすくなることにも繋がります。食後に血糖値が上昇すると、インスリンが血糖値を下げる働きをする一方、過剰になった糖はインスリンの働きにより脂肪組織に運ばれ、脂肪となって蓄えられてしまうのです。その結果、血糖値の上昇は肥満のリスクを高めることに繋がります。セカンドミール効果によって血糖値の上昇を緩やかにし、安定した状態を保つことができれば、肥満のリスクを抑えることにも効果が期待できますね。
集中力が低下する
血糖値が上昇すると、血糖値を下げる為にインスリンが分泌されるというのは、私たちにとって必要なホルモン作用です。しかし、血糖値が急上昇すればするほどインスリンが過剰に分泌され、かえって血糖値を急激に下げてしまうこともあります。血糖値が下がりすぎると、ブドウ糖をエネルギー源とする脳に必要なエネルギーが回らなくなり、集中力の低下、眠気へとつながるのです。食後にいつも眠くなるという人は注意が必要です。
セカンドミール効果を意識した食事が大切
今回紹介したように、血糖値が急激に上昇すると、様々な健康リスクがあることがわかりました。最近では糖質制限を意識した食事などが注目されています。今回紹介した原料や食品以外にも、食物繊維の豊富な食材を意識して摂ることで、セカンドミール効果が期待できます。糖質を過度に制限することにとらわれず、糖の吸収を抑え、血糖値を急激に上げないような食事の摂り方を考えていく必要があるでしょう。