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温度による味覚の違いで減塩、減糖。冷やだしの文化

食・料理
YOKARE編集部
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温度による味覚の違いで減塩、減糖。冷やだしの文化

料理の温度と味覚

味覚には鹹味(かんみ)、塩味、辛味、苦味、酸味、甘味に加えて旨味があります。 料理はいろいろな食品を使って味を決めます。例えばしょうがの風味を塩味の代わりに使ったり、甘味の引き立てに使ったりします。人間の味覚の特徴を利用して、味を際立たせることが日本食の特徴のひとつです。

温度による味の違い

味覚に与える影響の一つに温度があります。基本的には5度以下もしくは水溶液の沸点近くになると、どの味も感じ方が弱くなります。一番味を感じやすい温度が体温なのは甘味で、塩味は温度が低いほど感じやすいです。旨味の感じ方は温度に影響を受けにくいと考えれています。 人が感じる味覚は甘味よりも塩味が先なので、甘味から味を決めます。理科でおなじみの食塩水の知識をイメージすればわかりやすいかもしれませんが、温度が高い方が濃い食塩水をつくることができます。塩のような個体の調味料は入れ過ぎないようには余熱などの低温で味付けすべきで、温度や組み合わせ(味の増強効果)といった人間の味覚感度の変化を利用したほうが、減塩や減糖につながりやすいと思います。 減塩,減糖は生活習慣病を予防するためにも心掛けたいことです。温度変化による糖質の感度の違いは、果物に含まれるフルクトースが低温で強くなるため、体温以下に冷やすべきです。食べる順序にも注意して、塩味のする料理の直後に、甘味を感じたい料理を食べたほうがよりも甘みを感じやすくなります。水を飲むタイミングも大事です。

夏は塩味で味付け、冬は醤油で味付け?!

夏と冬では好まれる料理が違うように、だしの味付けも夏は塩がち、冬は醤油がちの傾向があります。料理そのものの特性に沿うことに加えて、季節によって人間の生理的な原理にかなっています。 季節によって、好まれる味付けにすることが必要です。夏場は汗をかくので、塩分補給をしなければならず、塩を多めに使います。酸味は温度による味覚変化が少なく、独特の清涼感があるため体感温度が高い場所での食に利用されます。

鰹だしには旨味は豊富、旨味で減塩や減糖に?!

旨味成分には鰹節のグルタミン酸、昆布のイノシン酸、貝類のコハク酸などがあります。最初に発見された旨味成分はグルタミン酸(1908年)で、1913年には小玉新太郎博士が鰹節からイノシン酸を発見しています。 鰹節には、亀節、雄節、雌節、本節などの種類があります。三枚に卸された鰹は左右一本ずつの節ができるが、その形が亀に似ているために亀節といいます。それぞれの片身は背肉部と腹肉部に分けられますが、背肉部を雄節、腹肉部を雌節といいます。それぞれ原料は表面のタール分を削り取った鰹であること、商品として節を削っていないものを本節といいます。 鰹節は、雄節と雌節が一緒になって亀節になることから縁起を担いで引き出物に重宝されている発酵食品です。作り方は、煮熟後、骨抜きをして表面の水分を焙乾により乾燥したものをなまり節、焙乾工程を終了して真っ黒になった節を荒節(鬼節)、カビ付け修了のものを本枯節といいます。カビ付けは元禄時代に土佐で始まったといわれており、改良を重ね、今日のように四~五番カビまでカビ付けした本枯節の技術が完成しています。

鰹だしの取り方

  • 水1リットルをなべにかけ沸騰させる
  • 25~30gを入れて火を止める
  • 節が沈んだらこします。

強い旨味は味覚に満足感を与え、減塩や減糖につながります。合わせだしという言葉があるように、鰹節と昆布のように由来の違う種類の旨味の組み合わせは、単独のときよりも強い旨味を作り出し、これを味の相乗効果といいます。旨味が塩でより強くなることを味の増強効果といって、塩味の効いた昆布がぜんざいに添えてあるのも理由のひとつです。

冷やした出汁を使った料理

冷ますほうが塩味を感じるので、普段はあったかいものを冷やして食べてみることもいいです。

ひやかけうどん

うどんといえばあたかたいかけうどんをイメージすることが多いと思いますが、ひやかけという冷たいうどんもあります。冷だしは水分補給に加えて、減塩に優れた方法です。讃岐うどんが有名な香川県は、うどんに合わせる天ぷらにも特徴があると思います。高野豆腐の天ぷらがあるのですが、なぜ天ぷらにしたのか興味を持ちませんか。乾燥しているので、微生物の増殖抑制作用があり、調理での吸水で膨潤するのが特徴です。高野豆腐が天ぷらになる理由、うどん屋さんに出る理由には、いろいろあると思うのですがどうでしょう。例えば、器に入った冷だしは水のように見立てることはできませんか。そこにある面は、生育に水が必要なものの集大成で、冷だしの色で土のイメージが合わなければ、水耕栽培ができる素材ものを並べてみるのも面白いかもしれません。 *あずまうどんのひやかけ 香川県高松市前田東町

さまざまな冷や汁

冷だしを用いた料理に冷や汁があります。よく見かける冷や汁は、冷やしただしに味噌をといて、きゅうりと豆腐やほぐした焼き魚、ごまをかけたものが準備してあります。それをごはんや麺にかけて食べます。最初からかけてあるのもあれば、自分で装うのもあります。暑い季節はガラスの器に入れてもいいですね。 埼玉県宮代町の郷土料理に冷や汁があります。宮代町は埼玉県の東部中央に位置していて、南北に縦長の町域を有します。東武伊勢崎線が町西部を沿って走り、日光線が町内の東武動物公園駅を起点に日光方面と日本橋方面に走っています。江戸日本橋を起点とし日光坊中まで達する日光街道は、日光社参の道として多くの人に利用されています。八代将軍徳川吉宗が日光社参の折にさくらのまちである幸手で食べた昼食の献立を吉宗弁当と名付け、だしに浸った焼き豆腐などを含んだ献立が、割烹ときわなどでふるまわれています。魚などでとっただしの利用に加えて、埼玉県の麦の利用が有名なことが、宮代町の冷や汁が麺である理由かもしれません。冷や汁うどんは味噌とごま、お好みで砂糖を加えすり鉢ですったものに、きゅうりとなす、しそやみょうがなどの薬味を入れ、冷たいだし汁か水でのばしたつゆに、加須うどんのような麺をつけて食す郷土料理です。 *子亀の冷や汁うどん 埼玉県加須市諏訪

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