美肌成分"甘草エキス"の効果
甘草(かんぞう)といえば、漢方薬を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。甘草の歴史は古く、4千年も前から効果が知られており重宝されています。
さまざまな漢方薬に配合されている甘草ですが、外用薬、注射薬、点眼薬などの医薬品としても利用されています。さらに身近なところでは、甘味料として調味料やお菓子などの食品・化粧品・入浴剤など幅広く配合されています。
今回は、美肌効果に注目して甘草エキスの効果を詳しくご紹介していきます。
甘草とは
「生薬の王」とも呼ばれるマメ科の植物で、見た目は雑草のようです。甘草の大きな特徴としては、甘草という名の通り、かじるととっても甘い味がします。
高さ40~70mの多年草で、長さ1~2mにもなる大きな根茎があり、地下茎を四方に伸ばします。花をつけ、7~8月頃に実を熟します。
6~7月頃に生薬としては、マメ科カンゾウ属植物の根茎や根を乾燥させたものを使います。
甘草の別名はリコリス
別名「リコリス」と呼ばれ、欧米では薬や化粧品の成分としてよりもキャンディーで有名です。
リコリスのキャンディーは欧米のスーパーのお菓子コーナーでよく見られるそうですが見た目も真っ黒、日本人好みではない味です。
出典:https://www.instagram.com/risayamamot/(@risayamamot)
また、歴史の古く4千年も前から薬草として使用されていたと言われており、古代アッシリアの粘土版(タブレット)や古代エジプトのパピルスにも甘草が記録されているのだとか。
エジプトのツタンカーメン王の墓地から甘草が発掘されたなど、数々の逸話があります。中国の古い医学書「傷寒論」にも記載されている113の処方中、70の処方に甘草が使われています。
つまり、漢方薬の6割に配合されており、一般的に知られている「葛根湯」に含まれています。
日本の甘草は輸入100%
日本には中国より渡来したと考えられており、古くから栽培され江戸時代には薬用植物として幕府に納められていたという説もあります。現在、日本で使用されている甘草はほぼ100%が輸入品です。
安価な原料が中国から輸入されるようになってからは、日本ではほとんど栽培されなくなりました。
甘草エキス、美肌に3つの有効な成分
1.グリチルリチン酸2K
4千年も前からその効果が知られているとも言われている甘草の根っこから抽出される美容成分エキス「グリチルリチン酸2K」がとても美肌に有効的です。
この「グリチルリチン酸2K」には、抗炎症作用・抗アレルギー作用・線維芽細胞増殖作用があります。グリチルリチン酸2Kの主な効能を見ていきましょう。
グリチルリチン酸2Kの効能
- シワ・たるみ
シワとたるみの原因となるのが、お肌の2層目にある真皮層にあるコラーゲン・ヒアルロン酸・エラスチンの減少です。
これらは、肌のハリと弾力を司る成分で、線維芽細胞という細胞から作り出されます。
この、細胞を増やす作用があれば、お肌にハリと弾力が生まれ、シワやたるみの改善に繋がります。
「グリチルリチン酸2K」には線維芽細胞を増殖作用があるため、効果が期待されます。
- 肌荒れ・ニキビ
「グリチルリチン酸2K」は、もともとのどの腫れや痛みを鎮めるトローチ、湿布薬などの医薬品に使われるほどの強い抗炎症作用を持っています。
また、鼻や胃の粘膜の炎症を鎮める目的で鼻炎薬や胃腸薬、目の炎症を鎮める目薬など一般医薬品として幅広く使われています。
この抗炎症作用は、化粧品として使用することで、肌荒れやニキビの炎症を抑えてくれる効果が期待されます。
2.グラブリジン
甘草エキスに含まれる「グラブリジン」という成分にはシミ・そばかす・色素沈着を引き起こすメラニン色素を生産するメラノサイトに作用してメラニン色素の生成を促す「チロシナーゼ酵素」を抑えてくれる働きがあります。
特徴としては、褐色または黒褐色の粘性のあるエキスで独特な匂いと甘味があります。
一般的に美白効果が高いと言われているビタミンCの270倍、コウジ酸の約60倍の美白効果が期待できます。
シミの元となるメラニンは、4つの段階を経て生成されます。
多くの美白成分は、チロシン→ドーパまでを抑制しますが、甘草エキスはそれに加え、ドーパキノンまでも抑制することが可能なのです。
3.リコカルコン
リコカルコンは、天然の日焼け止めになります。甘草エキスに含まれる「リコカルコン」は、根抽出物の主成分で、抗酸化活性を持ち、皮膚自信の防御システムを内側から強化することで、紫外線の肌への侵入をカットする効果もあり、天然の紫外線吸収剤として大きく注目されています。
甘草エキスと合わせて有効的な美白成分としてはカミツレエキス、アルブチン、アスコルビン酸、プラセンタエキスが挙げられます。
甘草エキスが含まれている肌トラブルに効果的な漢方薬5つ
- 甘草湯(かんぞうとう)
- 十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)
- 芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)
- 清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)
- 当帰飲子(とうきいんし)
こちらの漢方薬は、お肌の漢方に詳しい専門家のいるところで処方してもらうのがベストです。美肌の救世主になる甘草エキス、化粧品やサプリメント、漢方薬を上手に取り入れて美肌に役立ててみてください。