オリーブオイル
サラダやパン、パスタ、マリネなどにぴったりのオリーブオイル。独特の辛みと苦味はさまざまな料理にマッチすることから、日本の一般家庭にも浸透してきました。栄養面でも優れていて、世界的にオリーブオイルが持つ健康への効果が注目されています。
オリーブの果実が原料
オリーブオイルはオリーブの果実から搾油されます。ほかの植物油のように植物の種子ではなく、果実を原料としている点が個性的。見た目は、透明感のある薄い緑色や黄色です。
原料のオリーブは、地中海東沿岸や北アフリカが原産の常緑高木。ヨーロッパを中心に広い地域で栽培されています。
オリーブの果実は、そのまま食材として料理に用いることもできます。オリーブの葉は健康食品の素材として使用されています。
日本で流通しているオリーブオイルは、スペインやイタリアから輸入された商品が主流。近年では、国産オリーブオイルの人気も高まってきました。
オリーブオイルは食用以外に、化粧品の原料としても使用されています。
バージンオリーブオイルに4つのグレード
オリーブオイルは果実をすりつぶして絞り、遠心分離機などによって採油されます。その際、非加熱処理で採油できることも特長の一つ。また、ろ過処理を行わずに絞ったまま放置し、上澄みだけを集めるという手法もあります。
オリーブオイルにはグレードがあり、酸度や官能評価試験によって区分。国際オリーブ協会では、バージンオリーブオイルを次の4つのグレードに分類しています。
- エキストラバージンオリーブオイル
- バージンオリーブオイル
- オーディナリーバージンオリーブオイル
- ランパンテバージンオリーブオイル
私たちがサラダや料理に使用するのは、品質が上位の「エキストラバージンオリーブオイル」や「バージンオリーブオイル」です。
生産量世界一はスペイン
オリーブオイルの主要生産国は地中海沿岸に集まっています。そのなかで、世界最大の生産量を誇るのがスペイン。年間150万トン前後が生産され、世界のオリーブオイル生産量の5割程度を占めています。
スペインの後を追うのが、イタリア、モロッコ、トルコ、ギリシャなど。米国、南米諸国、中東諸国でも生産されています。
日本では香川県がダントツのトップ。香川県小豆島郡は温暖で降雨が少なく、オリーブの栽培に適した気候と言われています。「小豆島オリーブオイル」は国産ブランドとして、消費者の認知度も高まってきました。
オリーブオイルの栄養的な特徴
オレイン酸を中心にリノール酸も
オリーブオイルは不飽和脂肪酸の1種。一価不飽和脂肪酸(n-9系)に分類され、オレイン酸を多く含んでいます。n-9系脂肪酸は酸化しにくいという特性があります。
日本食品標準成分表2020年版によると、オリーブオイル100gあたりに一価不飽和脂肪酸を74g、多価不飽和脂肪酸を7g、飽和脂肪酸を13gほど含んでいます。
詳しく見ると、n-9系脂肪酸のオレイン酸を中心に、n-6系脂肪酸のリノール酸、n-3系脂肪酸のα-リノレン酸も含有し、バランスの良い構成となっています。飽和脂肪酸はパルミチン酸やステアリン酸などです。
脂肪酸以外にも、果実由来のトコフェロール、ポリフェノール、植物ステロールといった健康に役立つ成分も含有しています。
オリーブオイルの効果・効能
心疾患予防、悪玉コレステロール抑制、肌への効果…
オリーブオイルの健康への効果が注目されたのは、「地中海式食事法」が心疾患を予防するという米国の研究結果がきっかけ。
地中海沿岸に位置するギリシャは、ほかの地域と比較して心疾患の罹患者が少ないのですが、その要因の一つとして、オリーブオイルを日常的に使用する食事がクローズアップされたわけです。その後、世界各国でオリーブオイルに関する研究が進められてきました。
オリーブオイルの代表的な効果に、LDL(悪玉)コレステロールの抑制があります。これは、オリーブオイルの主成分であるオレイン酸の働きによるもの。また、血圧上昇を抑制する効果も指摘されています。
肌への効果についても研究が進められています。トラブル肌や加齢によって弱った肌を守るという作用に着目し、オリーブオイルを使用したスキンケア化粧品などが開発されています。
食生活に積極的に取り入れてみよう!
オリーブオイルは産地によって風味が異なり、グレードによって品質が違ってくるなど、とても奥深い食用油です。それぞれの産地やグレードの商品を試して、風味などの違いを比べることも興味深いですね。
また、各国の研究で報告されるオリーブオイルの健康への効果は、私たちが抱く「油は摂らない方が健康に良い」という概念を大きく変えてくれます。オリーブオイルのように、しっかり摂取することで健康に役立つ植物油もあるのです。
健康と美容を維持するために、良質なオリーブオイルを選び、食生活に積極的に取り入れてみてはいかがでしょうか。