スポーツをしている人なら知っておきたいアミノ酸とプロテインの違い
スポーツ選手に限らず、趣味でスポーツを楽しんでいる方や日々の健康を気にしている方まで、食事とは別にサプリメントを摂取することは当たり前になってきました。特にスポーツをしている方にとっては、筋肉の元となるプロテインやアミノ酸は、疲労回復や筋力増強のためにとても大切なサプリメントの一つ。ところで、あなたはアミノ酸とプロテインの違いをしっかり理解していますか?体に害があるというわけではないにせよ、摂り方を間違えるとせっかくの効果も半減してしまいます。
筋肉のもととなるタンパク質について
サプリメントの知識に入る前にタンパク質のことについて知っておきましょう。
体にはたくさんの筋肉がついていますが、その筋肉の元となる栄養素がタンパク質です。鶏肉や豚肉といった肉類、マグロやアジといった魚類から摂れる動物性タンパク質と、お豆などから摂れる植物性タンパク質があります。
タンパク質を摂取すると、消化しやすいように体の中で細かく分解されます。この分解された形がアミノ酸です。
このアミノ酸もさらに2種類に分けることができ、体の中で合成されず必ず食物から摂取しないといけないものが必須アミノ酸、あえて食物から摂らなくても体内で合成できるものが非必須アミノ酸となります。
(ちなみに、必須アミノ酸は9種類、非必須アミノ酸は11種類、合計20種類のアミノ酸で私たちの体はできあがっています。)
必須アミノ酸の中でも、特に筋肉の成長や維持に欠かせないのがバリン・ロイシン・イソロイシンという3種類のアミノ酸です。この3種類のアミノ酸がBCAA(分岐鎖アミノ酸:branched-chain amino acids)です。筋肉のタンパク質に含まれる必須アミノ酸のうち約4割がBCAAのため、特にスポーツをしている方はアミノ酸の中でもBCAAをしっかり摂取することが望ましいでしょう。
プロテインとは
プロテインは日本語に訳すとタンパク質のこと。なので、単純にサプリメントにおけるプロテインとはタンパク質を中心としたサプリメントである、ということができます。実はプロテインと一言に言ってもいくつか種類があるので、その違いを知っておきましょう。
プロテインは、乳清から作られるホエイプロテイン、生乳から作られるカゼインプロテイン、大豆から作られるソイプロテインに分けられます。
- 乳清から作られるホエイプロテイン
- 生乳から作られるカゼインプロテイン
- 大豆から作られるソイプロテイン
ホエイは牛乳の成分のうち約20%にあたる乳清のこと。ヨーグルトを買ったときに見える上澄み部分の液体がまさにホエイです。ホエイの特徴は水溶性のため吸収が早く、筋肉成分の多くを占めるアミノ酸、ビタミンやミネラルも含んでいるため筋肉の修復効果に優れています。
カゼインは牛乳の成分のうち約80%にあたる部分で、不溶性のため体への吸収速度はゆっくりなのが特徴です。ホエイプロテインは約1〜2時間で体内に吸収されるのに対して、カゼインプロテインは7〜8時間ほどかけて体内に吸収されます。
ソイは大豆由来の植物性タンパク質のこと。動物性タンパク質と比較して、エネルギー量や脂質が抑えられているため、タンパク質は摂りたいけど脂質や糖質はあまり摂りたくないという方におすすめです。他にも9種類の必須アミノ酸をバランスよく配合している、腹持ちがいい、お腹がゴロゴロしにくい(牛乳を飲むとお腹がゴロゴロする方)などの特徴があります。
プロテインとアミノ酸の違い
では、プロテインとアミノ酸の違いはどこにあるのでしょうか。ポイントは吸収スピードとアミノ酸スコアになります。
冒頭で、タンパク質を分解して吸収しやすくしたのがアミノ酸というお話しをしました。プロテインで摂取するとタンパク質の状態で摂取するので、ホエイプロテインで約1〜2時間、カゼインプロテインで約7〜8時間、ソイプロテインで約5〜6時間ほど時間をかけて体内に吸収されます。
- ホエイプロテインは約1〜2時間
- カゼインプロテインは約7〜8時間
- ソイプロテインは約5〜6時
それに対して、アミノ酸はすでに分解された状態で摂取するため、約30分で体内に吸収されます。そのため、運動後などすぐに筋肉に栄養を届けたい時などはアミノ酸の方が優れているということになります。
- アミノ酸は約30分
では、プロテインを摂らずにアミノ酸を摂っていればいいのかというと、決してそんなことはありません。プロテインは胃に届いたあとに消化酵素の働きで分解・吸収されます。一方、アミノ酸は分解する必要がないためそのまま腸に届けられます。少量であれば問題ないものの、多量のアミノ酸を摂取すると浸透圧の関係で下痢を起こしやすくなるというデメリットがあります。
プロテインはゆっくり吸収されるから良くないのかと言うとそんなこともなく、ゆっくり吸収されるということは体内に長くとどまるので腹持ちがよく、筋肉を回復する栄養素が長く体内にあると言い換えることもできます。
また、どれだけの種類のアミノ酸を含んでいるかという点でいうと、プロテインは筋肉を構成する20種類のアミノ酸が全て含まれていることが多く、アミノ酸スコアで言うとほとんどが100を満たしています。サプリメントで販売されているアミノ酸ですと、20種類のアミノ酸を全て含んでいるというよりも、特定のアミノ酸を含んでいるということが多いのでサプリメントだけでは不足するということが多いです。
このようにプロテインとアミノ酸はそれぞれに特徴があるのでうまく使い分けて摂取するのが望ましいです。